精神の奥底
45 自分と向き合うこと
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いていない。
彩斗はたこ焼きとミートドリア、そして自分のカルボナーラをレンジに入れて加熱時間を2分40秒に設定する。
今までメリーがここまで我を忘れているのを見るのは初めてだった。
だが少なくとも2日、飲まず食わずだったことを考えれば当然だった。
「私の分は?」
「君には牛豚づくし弁当。多分、君の嫌いなものは入ってないだろう?」
「気味が悪い…今日に限って随分と聞き分けがいいじゃない」
「聞き分けがいい?違うね。ただ僕は君が思っている以上に利口なだけさ。持ちつ持たれつ、ジョーカープログラムとその弁当で今回のことは手を打とうじゃないか」
「そういう魂胆…ろくな大人にならないわ」
ハートレスはため息混じりにコップに烏龍茶を注いで、彩斗の次に電子レンジを使う。
正直、ハートレスはメリーを救う手助けをする代わりにジョーカープログラムを要求した、つまりそこで等価交換は成立つもりだった。
だが彩斗はメリーの重さをその程度とは考えておらず、ついでにここで縁をきっちりと切りたかったのだろう。
誰から見ても不思議とスッキリした顔で誰から見ても笑顔に近い表情だ。
彩斗は滅多に笑わない。
普段の彩斗を見慣れているハートレスからすれば、違和感だらけだが、本来なら笑いながら友達と遊んでいるのが正常な年頃だ。
メリーのもとに温めた残りの弁当を運んでいく後ろ姿を見ながら、ハートレスは本来の彩斗というものについて考え直していた。
「一応、もう一度聞いておくわ。身体に異常は?」
「うん、強いて言えば、結構疲れてる。あと徐々にだけど残留してる力が抜けてきたみたいだ」
「疲れはあるのね?味は?」
「味?...いつもどおり、コンビニならでは味。塩分が多め」
「……あっそ」
彩斗はカルボナーラを啜りながら味の感想を語った。
確かに先程までの怪力は鳴りを潜め、コンビニでつけられたプラスチックのスプーンとフォークも曲げること無く使えている。
ハートレスは再びアイリスと顔を合わせる。
彩斗は痛覚は麻痺しているようだが、味覚、視覚、疲労感とその他は正常だった。
この手の症状では感覚が大概全ての感覚が麻痺していることが多いが、今のところ確認できたのは痛覚の麻痺のみ。
異変があると言えば、メリー以外の者に対しても笑顔を浮かべ、声のトーンが少し明るいことだろう。
幸福感に満ち足りている、いわゆるテンションが高い状態とでも言えばいいのだろうか。
普段の彩斗をよく知らなければ、変化は感じないだろうが、長い付き合いのハートレスとメリーは違和感を覚えていた。
不気味と言えば不気味だが、心配を掛けないように無理しているとも思えない。
歳相応に近づいた、そんな様子だ。
「そういえばさ」
「どうかしたの、サイトくん?」
「その後のWAXAの動
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