精神の奥底
45 自分と向き合うこと
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ていても心の奥深くでは死期を悟り、死んでも構わない、死ぬことなど怖くない、どんなに強大な敵でも恐れることなどないという意識が間違いなく存在していると確信した。
彩斗自身も恐らく自分の言っていることと本音は違うと気づきながらも、そう思い込もうとしていると。
ハートレスは予想よりも恐ろしい事態になっていると実感する。
ポケットから採血用の注射器と糸くずを取り出した。
「それは?」
「ものは試しよ」
「でもサイトくんには気づかれる」
「一応、シンクロ能力者には思考を読まれにくいような思考訓練を受けてるわ」
「…サイトくんがあなたを苦手にしてる理由はそういうことだったの」
「読めない、食えない相手はあの子が最も嫌いなタイプだからね。それにあの子だって、身体だけでなく脳も疲労がたまっているはず」
ハートレスとアイリスは彩斗を追うように2階のリビングルームへ向かう。
彩斗の身体は彩斗が自分で思っている以上に疲れて切っていた。
特に脳に関してはシンクロの影響で常人以上に疲労しやすい。
この状態なら彩斗が無意識のうちは殆ど読み取れないはずだった。
彩斗はメリーとリビングの上に買ってきた弁当や飲み物を並べている。
ハートレスはゆっくりと彩斗の背後にまわる。
「あら?何かついてるわよ?」
「え?」
「待って、取ってあげるわ」
ハートレスは彩斗の首筋に注射器を刺す。
そして彩斗が振り返るタイミングで注射器を隠し、糸くずに持ち変える。
「ただの糸くずね」
「なんだ…にしても随分と今日は親切だね…本当に明日は雪じゃないだろうか」
「……かもしれないわね」
彩斗はハートレスに気味悪そうな表情を見せて、椅子に座った。
ハートレスは彩斗の冗談にうまく相槌を打ちつつも、アイリスと目を合わせた。
予想通りとはいえ、ここまで予想通りだとむしろ気味が悪いのはハートレスとアイリスの方だった。
彩斗は注射器を首筋に刺されて採血されたことに全く気づいていないのだ。
刺された際や針が抜かれた際の痛みを感じていない、それどころか蚊に刺させた程度の感覚なのだろうか。
不思議そうに首筋をポリポリとかいている。
むしろその様子を一瞬だけ見てしまったメリーの方が違和感を感じているようだった。
「お腹空いたろ?食べよう」
「えぇ…もうお腹と背中がくっつきそうです。3日近く何も食べてなくて…」
「じゃあレンジで…」
彩斗がレンジの方を向いたのと同時にメリーは我慢できず、いただきますの挨拶も忘れて弁当にがっついた。
いつもの礼儀正しいメリーからは到底信じられない行動だった。
いきなり冷たいままのナポリタンを獣の啜り上げる。
「ちょっと…まだチンしてないんだけど」
「……!!」
メリーは夢中でまるで気づ
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