序章1 出会い
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出来るのは親父くらいだろう。
「くそっ!!」
男は負けじと矢を次々と放つ。………が、どれも親父に打ち落とされた。
「ありえない………」
「凄い………」
目の前の光景に信じられないのか呆然と立ち尽くす相手。
女の子も思わず見惚れてしなうほど鮮やかだった。
「悪いが弓で俺を殺すんだったら、もっとスピードを上げるか、気配を消し、視界外から撃つべきだったな」
「くっ………!!」
近づく親父にナイフで防戦しようとしたが、ナイフを取り出したと同時に既に親父は通り過ぎていた。
「なっ、バカな…………」
そう言い残して男は倒れる。
「さあ、後はお前だけだな」
「くうっ………!!」
俺がそう言うと男は唖然とした態度を止め、俺に殺気を向けてくる。
だが俺には分かる。相手はもう既に心が折れている。
例え俺を倒しても次に控えるは仲間の2人をあっという間に仕留めた親父がいるのだ。
それに俺が親父と呼んでいることにも気がついているだろうから、殺しでもすれば先程よりも鋭く、怒りに満ちた攻撃が自分に襲いかかってくるだろう。
その恐怖を隠すためにも虚勢を張っている。
そういう風に俺は見えた。
(勝ちは勝ちだけど………)
しかし俺としてはやはり納得できない部分がある。
今回みたいに親父の強さを見た相手が戦意喪失する事は多くあった。特に山賊相手が多い俺の場合、戦意喪失し、なるようになれと半ば強引に攻撃してくる敵。
相手にならないのだ。自然と守ってくれる親父の強さは俺の憧れでもあるが、同時に邪魔にも思えてしまう。
(俺だってもう一人前の剣士だ………)
本当ならば今回のガベラ一族討伐も俺1人で行こうと最初は考えていた。しかし一人前と中々認めてくれない親父が否応言わせず付いて来たのだ。
(過保護過ぎる………とはまだ言えないか………)
ガベラ一族だけが相手だったらそう言えたかもしれないが、今回は親父が居てくれて本当に良かったと思う。
1人であれば彼女を守りながら戦えただろうが、3人を倒すなんて事は恐らく出来なかっただろう。
(親父の言う通りまだまだ甘いな………)
そう自嘲気味に小さく笑い、相手を見据える。
「だが、その女を捕まえて逃げれば!!」
そう叫びながら斧を振り下ろす男。やはり思った通り先程と打って変わって単調で大振りだ。
「終わりだ」
その隙を見逃さずスピードと共に渾身の一撃を相手に食らわせた。
「くっくそっ……!!こんなガキに………」
そう言い残し、男は倒れた………
「殺したんですか………?」
「まさか!この装備、恐らくベルンのものだ。今のベルンはいつ他国へ兵を挙げてもおかしくない状態
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