序章1 出会い
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ても不意を突かれないためだ。
「近いな………」
ガサガサと草をかき分ける音が大きくなるにつれて、剣を握る手にも力が入る。
「不意打ちはいい、それよりもリラックスして落ち着け」
親父にそう指摘され、1度深呼吸をする。目の前に姿の見えない相手に少し緊張していたようだ。それに相手は山賊とは限らない。
「ハァハァ………」
相手の息遣いも聞こえてきた。懸命にこっちへ走ってきているみたいだ。
「誰かに追われてる!?」
「おい、待てゼオン!!」
そう思った俺は親父の制止を無視して駆け出した。
草をかき分け、人の気配がする方向へ走る。
「来る!!」
ある程度進み、俺は止まった。相手もすぐ目の前まで来ているようだ。
「ハァハァ…あっ!?」
かき分けて現れたのは青白い髪の少女。肩の出た白いローブを着ており、杖を持っていた。その服装からもシスターだと思われる。
「おっと!!」
ぶつかりそうになった少女を受け止める。かなり汗をかいていて、大きく肩で息をしていた。
「大丈夫か………?」
「は、はい………ありがとうございます………」
綺麗な赤い目でそう呟いた少女は、俺の手から離れ、さっさと去ろうした。
その尋常じゃない雰囲気に放っておけなかった。
「おい、何かあったのか?」
「逃げて下さい………追っ手が私を………」
「追いついたぜ………」
そう言いながら現れたのは3人の男だった。
屈強そうな男が斧を、軽装の鎧を着た男が槍を、そして最後の男が弓を持っていた。
「悪いが鬼ごっこは終わりだ………ん?」
どうやら少女だけでなく俺にも気が付いたようだ。
「サカの民か………悪いが見られた以上、生かしてはおけん!!」
そう言うと斧を持つ屈強な男が襲いかかってきた。
「なっ!?」
振り下ろしてきた斧をバックステップしながら避け、剣を構える。
「女は殺すな」
「分かっている」
俺が武器を構えた事で、相手は無闇に襲い掛かるような事はしなかった。
(普通のゴロツキとは違う………)
戦い慣れているような雰囲気に思わず身震いする。俺はガベラ一族相手にしか実戦を経験したことがない。実戦に近い感覚で親父や幼馴染のジンとは何時も戦っていたが、所詮模擬戦の様なもの。
(強いな………)
死ぬのは恐い。……だがそれ以上に高揚している自分がいた。
「あの………」
「君は俺の近くに。直ぐに親父も来てくれるはずだから」
「親父………?」
少女を背中に隠すように立つ。
「ふっ、逃げずに俺達3人から守るつもりか………だが1対3でどこまで戦えるかな?」
そう言った後、再び男が襲い掛かってきた。
「だらっ!!」
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