序章1 出会い
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リキアを繋ぐように山が連なっている。
その山からよくガベラ一族が出没するのだ。
「そう言えばまた書状が来てたぞ。クトラ族のスーがまたお前と競いたいそうだ」
「またかよ………俺は専門は剣技なのによ………」
「お前が皆の見ている前で大いに負かすからライバルと思われているんだろ?」
「それ、ガキの時の話だろ?いつまで根に持ってるんだか………」
クトラ族とはサカでも古い部族でサカの遊牧民の中心とも言える部族だ。スーはその部族の族長で俺と年が近く、族長会議などで、俺達の族長を親父が護衛するのに一緒に行った際、初めて会った。
民族衣装を纏い、しっかりと部族の家紋が入ったヘアバンドを付けたスーを見て、大事にされたお嬢様だと思った。
粗相のない様にと親父にも言われていたので、そのつもりで遊んでいたが、話は弓対決となり、俺達は勝負する事となった。
結果は俺の圧勝。山が近い俺達の部族は山での狩りも行い、どんな体勢からも正確無比に狙える程の腕を持つ。そして俺自身も狩りも遊びの内にやるようになり、剣だけでなく、弓にも多少自信があったのだ。
だがただ勝っただけならよかったのだが、その対決はいつの間にか集まった部族長達も見ており、大いに話題になった。親父はさぞ鼻が高かっただろうが、終始涙目で睨んでくるスーの視線に俺はその場から居たたまれなかった。
そしてその後も会うたびに勝負するようになり結果として勝ったり負けたりを繰り返し、決して俺だけが1人勝ちしている訳では無いのだが………
『それではまた次会ったときに』
と毎回真顔で約束させられるのだ。
「戦績だってスーの方が上になったんだからもう競う必要もないだろうし、うちの部族で一番だったらティエナだろ?何で俺なんだか………」
「お前な………もういい歳なんだからもう少し違う視点で物事を見た方が良いぞ」
「うん?どういう事?」
「もういい………全く、そんな余計な所まで似なくていいのに………」
呆れた様子でそう呟く親父だが、俺にはちっとも分からない。いい歳と言っても17歳になったばかりでそんな歳の事を心配されなくてもいいはずだ。
「………まあいい、取り敢えずクトラ族まで顔を出しに行け」
「あいよ………」
北へずっと行かなくてはいけないので面倒だが、ついさっき山賊も殲滅したししばらくは大人しいから離れていても大丈夫だろう。
「ん?」
ちょうど森の出口へと出ようとした時だった。
「親父………」
「ああ、何か大きな音が近づいてくるな………さっきの山賊共の残党か………?」
森の左側からこっちへやって来る草を分ける音や激しい足音が聞こえる。
「ゼオン、気をつけろ………」
「分かってるよ………」
馬から静かに降り、剣を抜く。もしそうだったとし
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