8.それは男のロマン
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でやるべきことをやり遂げたように屈託がなかった。
「俺の未練がましい冒険心……俺の求めた浪漫を、おめぇが探してこい。その剣と槍で女の一人でも救って英雄になってみせなッ!!……それがこいつらの為でもあるしな」
リングアベルは槍の感触を確かめ、弄ぶように回す。前のスピアよりもずっしりとした重みがあり、その分の威力と頑丈さを感じさせる。槍もまたピカピカに磨きこまれていた。見ているだけで主人がどれほど向きに未練を持っていたのかが伝わってくる。
この槍に込められた冒険への熱意、剣に込められた夢への無念。一人の男が冒険者として全てを賭けたその名残が、掌の上で燻っている。自分も冒険がしたいんだと言わんばかりに。
ならば――ここで受け取らないのは男じゃない。
「ロマン、それは男の魂が求める至高なもの………ヘスティア・ファミリアが一人、リングアベル!!主人の情熱と無念はしかと受け取った!!」
「おう!……行ってこい!だが、絶対に死ぬな!次はその槍でスピアを折った難敵をぶちのめして俺の所まで報告に来いやッ!!」
背中を押されたリングアベルは、手を上げてそれに応えると宿を出ていった。
夢を追う男、リングアベル。
その背中は、一人の冒険者の夢を背負って一回り大きく、そして逞しくなっていた。
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