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鐘を鳴らす者が二人いるのは間違っているだろうか
8.それは男のロマン
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。ベル君がレベル2に達したら考えるってことでどう?」
「本当ですか!?よーし、頑張るぞ!!………もちろん無理しない範囲で!」

 その言葉がおかしくて、三人は笑った。
 そして食事を終えた後は、それぞれのやるべきことへ向かっていく。

 ヘスティアはファミリアの為に今できることを。
 ベルはさらなる高みへと登ることを。
 そしてリングアベルは――その日は珍しく、女性ではなく男性に用があった。



 = =



 オラリオの東にある安い宿を見上げ、リングアベルは懐かしそうに眼を細めた。
 この町で意識を取り戻した際に、最初に見たのがこの宿の天井だった。ここを出てから2週間ほどしか経っていないのに、随分懐かしく感じる
 戸を開けると、カランカラン、と耳に心地よい鐘が鳴った。

「らっしゃい!……お?おめぇまた来たのか!何度来たってもうタダ飯は食わせてやんねぇぞ!」

 入るなり飛んできた容赦のない声に、苦笑いしながらリングアベルは返す。

「おいおい、俺がそこまで卑しい男に見えるか?ファミリアに入ってからツケの食事代、宿代その他諸々しっかりと払った筈だ。それに今ではどちらかというと奢るほうだ。……無論、女性にな!」
「がはははは!女好きは全く変わってねえな!正直ウチの娘を口説いてたのを見つけた時はダイダロス通りにでも置き去りにしてやろうかと思ったぜ!」
「そこは美人の娘を自慢するべきだろう?お父さん?」
「その呼び方をするんじゃねえ!………で、記憶は戻ったか?」
「いいや、さっぱりさ。それより、今日は謝らなきゃならんことがあるんだ」

 リングアベルは、懐に仕舞っていたそれを出す。
 布にくるまれた棒状のものをカウンターに置き、布を外した。
 主人は最初は何事かと訝しがっていたが、中身を見てそれが自身の見覚えのあるものだと気付いたようだ。

「こりゃあ……おめぇに渡した槍か。見事にへし折れてやがるな」
「すまない。この前タチの悪い魔物に襲われてな………遺憾ながら、折れてしまった」

 ミノタウロスに放った必殺の一撃の反動で折れたこの槍は、元冒険者だったこの宿の主人から貰った代物だった。記憶喪失で困っていたリングアベルをあっけらかんと引き入れ、金もないのに温かい食事をおごってくれたこの主人に、リングアベルは今も恩を感じている。
 だからこそ、彼のお古である槍を折ってしまったことはきっちり謝りたかったのだ。
 主人は懐かしむようにその槍を眺め、顎に指を当てた。

「そうか、折っちまったか………強かったか、これを折った相手は?」
「ああ、いかつくて無駄にデカくてむさくるしい奴だったよ。後輩を守る為とはいえ無茶してしまった」
「はん……おめぇも立派な冒険者になっちまったな。少しばか
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