ACT.0 「浜松市立高校銃乱射事件」
[2/3]
[1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
その正体は、「狩人」が持つシグR93から放たれた338.ラプア・マグナム弾の銃声だった。
持ち主の意思により、引き金というスタートホイッスルを受けたラプア弾は、「狩人」の狙う先、AK-47を持つ男に向けて音速を超える早さで発射された。
バレル内部に彫られたスクリューにより、回転されて発射された弾丸は、アルミサッシにはめ込まれたガラス窓を難なく粉砕し、勢いを維持したまま男の頭部に食い込んだ。
直径8.58mmの338.ラプア・マグナム弾は皮膚、頭蓋骨、そして脳と順に破壊し、その男の思考と生命を強制的に停止させた。
その光景はあまりに非日常的だったが、つい20分程前に親しい友人達を失ったばかりだ。だからそれ程恐怖はしなかった。むしろ、憎い男が死んだ事への喜びと興奮が思考を支配していた。
「うわぁぁぁぁあああ??」
残った一人が自らの死を予感したのか、断末魔ともとれる絶叫を発し、持っていたAKを腰だめの姿勢で乱射し始めた。その殆どは天井に刺さり、無駄な事となった。
先程の射撃から数秒後、ボルト・アクションのリロードを終え、射撃体制が整ったのか、もう一度銃声が鳴った。
もちろん、気が狂っていた男に回避できるはずが無く、頭部に当たり、先程の二人と同じく生命活動を停止させ、床に伏せる事になった。
先程まで四人いた空間には、もう自分しか存在していなかった。
床には死体が三つ転がっており、その下敷きとなっているAK-47には混ざった血で真っ赤にペイントされていた。
しばらく立ったままでいると、ガチャガチャと音を立てて何者かが走って来た。
「君、大丈夫か?」
黒いツナギ状の突入服、頭のヘルメットに取り付けられた暗視装置、そしてH&K伝統のブラックカラーに塗られたMP-5を装備した警視庁警備部第六機動隊(SAT)の隊員たちだった。
特殊部隊の屈強な男達は床に伏せている死体を見つけると、銃を構えながら近寄った。
「マル犯1、2、3発見。小銃所持。死亡している模様」
「これは...君がやったのかね?」
隊員達がざわめく。
「いいえ、SATの狙撃手が…」
「何っ、SATの狙撃手だと?」
隊長格と思われる隊員が驚きの声を上げた。
「おかしいぞ…今回突入班は俺たちだけ…特殊銃手は配置していない筈だぞ…」
えっ、と思わず声を上げる。
「南校舎…そっちの校舎から銃弾は飛んで来ました。SATじゃないなら、誰が…」
隊長が分からん、と呟き、部下達に声をかけた。
「とりあえず、刑事部に報告。鑑識を呼んでくれ」
部下の一人が了解、と言い、ヘッドセットで通信をし始めた。
数秒後、別の隊員が隊長への報告か、何かを持ってきた。
「隊長、犯人
[1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ