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恋姫†袁紹♂伝
第19話
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その点では問題は無い。あの二人がいる私達はどの諸侯よりも張角の首に近いからな」

「そうね、あの二人が居れば――って他に問題があるの?」

孫策は頼りになる二人を頭に浮かべながら笑顔で問う。隠密に優れた彼女達はすでに広宗内部に潜入している。広宗を包囲しているだけの諸侯よりも断然有利な立場にあった。
 
それとは別の問題で周瑜は端正な顔を歪める。機嫌が直った友に告げるのは心苦しいが、対策を立てるためにも伝えなければならなかった。

「……問題は彼が袁家当主であり、袁術の兄というところにある」

「どういうこと?」

「袁術の下で食客として使われている私達に、当主である彼の命を断る術があると思うか?」

「……あ〜」

独立を成していない孫呉と、袁家当主である袁紹陣営には天と地ほどの差がある。
 どのような無理難題を命じられても断れないほどに……

「で、でも私達が先に張角の首を取れば問題無いじゃない?」

「袁紹の補佐を命じられたとしたら? 補佐が彼の陣営を差し置いて張角を討ち取ったら、機嫌を損ねるだろうな」

「うっ……ほ、ほら! 袁紹様ってば人徳に厚いって噂だし――」

「袁紹がそうでも周りが同じとは限らん、それに――張角の首を狙うなら手は多いほうが良い。私が袁紹の軍師ならそうする」

「もう! どうすればいいのよ!?」

「そうならない様にこうして頭を捻っている。だから……挨拶の時に余計な事をするなよ?」

「す、するわけないじゃな〜い」

「……」

こうなったら色仕掛けで――などと考え始めていた彼女に釘を刺して、接近してくる軍旗に再度目を向ける。

「……何かあるな」

袁紹の要求がどのようなものであれ、向こうの出方次第で孫策達をどうとでもできる為、対策の立てようが無かった。
 
そして周瑜は袁紹からあるかもしれない要求より気になる点、彼等の目的に疑問を持った。
 並みの思考であれば張角の首が目的だと考えるだろう。しかし孫呉の頭脳として動いてきた彼女には別のものが見えていた。

「財力を駆使して『難民』を受け入れ、将来的な内需と軍備の拡大を確約させた。
 そんな彼等に今更、張角の首に価値があるとは思えん」

袁家は朝廷の許可なしに派手に動いた。力を失った漢王朝は事実上黙認しているが、不満を募らせている。
 そんな彼等に対するご機嫌取りとして張角の首を――それも無い。

放って置けば、諸侯に討たれるほどに弱まった賊の長の首などたかが知れている。
 討ち取ったところで朝廷の心象には焼け石に水、まったくの無駄とは言えないが内政を停滞させてまで価値があるとは思えない。故に別の目的がある――周瑜にとって当たり前の結論であった。

「願わくば挨拶の際に、探り
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