第19話
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せん……」
「それで我か、だが我が袁家も漢の忠臣ぞ」
「ですが……、他の諸侯とは違い私達を救ってくれました!」
「……」
「私は反対です」
袁紹の顔に同情の色が出始めていたのを感じた桂花は、彼が情に流された決定をする前に自分の意見を口に出した。
「私達の陣営は、受け入れた三十万にも及ぶ難民達を管理するので手一杯です。
ここは当初の予定通り、張角の事は諸侯に任せ内政に力をいれるべきだと進言いたします」
「……」
桂花の意見を聞き、袁紹はそのままもう一つの頭脳である風に目を向ける。
彼女は目を閉じ静かに首を横に振った。
「風も桂花さんに賛成なのです〜。彼の話に確証は無いですし。動き出した諸侯を出し抜くのは難しいかと、仮に出し抜けたとしても、南皮の内政を頓挫して得られるのは旅芸人三人の身柄……割に合わないです〜」
「……フム」
「そ、そんな」
彼女達の意見を聞いた袁紹は難しい顔をして目を閉じる。その様子に男は顔面蒼白になった。
彼に桂花と風がどのような立場の者かはわからない。しかし彼女達の意見は正論で、袁紹がそれを重視しているのは肌で感じた。
男が顔を伏せ絶望に染まり始めた頃、袁紹は静かに目を開いた。
「桂花! 斗詩、猪々子、音々音の補佐があればどのくらい南皮を取り仕切れる?」
「――二、いえ、およそ三ヶ月は」
「一月、長くても二月で戻る。その間南皮を頼む」
「畏まりました」
「風、利が無ければ作れば良い。違うか?」
「フフフ、そう言うと思っていたですよ〜」
「我が陣営以外に張角の正体を知る所はあるか?」
「各諸侯より情報が集まる私達が知らなかったわけですし。知っている所は無いかと」
「なれば張角の正体を流布せよ、かの者は『男』であるとな」
「は〜い」
「恋と星の両名は遠征の準備、各諸侯の前で主らの武を見せつけよ!」
「……(コク)」
「久々の実戦、腕が鳴りますなぁ」
「あ、あの!」
袁紹達のやり取りを見ていた男が思わず声を掛ける。先ほどの流れでは断られると思っていた。
そんな彼とは違い。袁紹の周りに居た娘達には始めから彼の決定が解っていた。
為政者として感情を殺そうとしているが、目の前で困っている人間を放っては置けない。
自分に――自分達に出来る範囲で助けたいと願っている。桂花と風の両名はそんな彼の気質を理解しているからこそ、自分達の意見を述べた。 張角達を救い出すのはこのような不利益があると確認しただけだ。
それでも尚袁紹が助けるというのならもう言葉は必要ない。後は最善を尽くすだけだった。
「ほ、本当によろしいので?」
恐る恐るといった様子で尋ねる。実は
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