7部分:第七章
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「そうです」
そう二人に語る。
「私は。生きている時と同じ心を持っているのです」
「まさか」
ベネヴィクトはその言葉を否定してきた。
「貴方は死んでいます。それに」
「それに?」
「街の家々の扉にあったあの大蒜は。貴方への為のものではないのですか!?」
「あれは誤解です」
答えるその言葉が悲しい音色になっていた。
「あれが何を意味しているのかは私も知っています」
「吸血鬼」
「そう、吸血鬼へのものです」
そうベネヴィクトに答える。
「ここにいて暫く経っていましたから。それはわかっていました」
「わかっておられたのですか」
「はい。そして貴方達の御考えを」
そう述べてきた。
「貴方達は私を吸血鬼と思っておられるのですね」
「はい」
ベネヴィクトがアレクセイの言葉に頷いてきた。
「違うのですか?」
「確かに私は死にました」
自分でもそれは認める。
「ですが。吸血鬼ではないのです」
「違うのですか」
「はい」
穏やかな笑みで頷く。
「私は。肉体がありませんから」
「肉体はないと」
「そうです」
また答える。
「吸血鬼は肉体があり、そこに邪な霊となって宿るものです。今の私は」
「確かにそうですね」
グレゴリオは今のアレクセイを述べてまた言ってきた。
「貴方に肉体はない。そして」
「私は。生きていた頃と同じ心を持っています」
また二人に述べる。
「それを務めて守ってきました」
「あの」
ベネヴィクトはここで首を傾げてばかりだった。アレクセイの言葉にわからない部分が見られるからだ。彼はあくまでカトリックでありスラブの考えに疎かったのだ。
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