3部分:第三章
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「貴方のお国とさして変わらない程です」
「イタリアとですか」
「そうです。貴方の国がそれぞれの地域で独自性があるのと同じ程度です。本当にそれだけの差でしかないのですよ」
むしろよりその差は少ないのかも知れない。それだけの差なのだ。
「それが。こうして」
「争うと」
「そうです。それで」
争うのだと。そう言うのだ。ベネヴィクトはこのことにあらためて溜息をつくのだった。
「やりきれませんね。イタリアでもそんなことはないです」
「周辺の国々の介入はあったとしても」
「むしろそれを逆に利用してやりますよ」
ベネヴィクトは不敵に笑って言い返した。実はイタリアの外交ではこうしたことは日常茶飯事であった。イタリアは普通に外交をしてきた国ではないのだ。いつもそうして侵略者を逆手に取ってきた。イタリアの外交はこうしたことにはじまっている。
「ここはそれができなかったのですね」
「無理ですね、それをするにはあまりにも」
「純粋であったと」
「純粋なのは事実です。それは確かにいいことです」
「しかしそれだけでは駄目だと」
「他の者を認めることもまた必要なのです。しかし彼等は」
相変わらず誰もいない街を進んでいく。それは二人が今まで歩いていた荒野とあまり変わりがなかった。気味悪い程同じものに見えるのだった。
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