暁 〜小説投稿サイト〜
蒼き夢の果てに
第6章 流されて異界
第119話 有希
[9/12]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
まれ口が主。他の人に対する時のように少しイッちゃって……地底人からの毒電波を受信しているんじゃないか、と言う台詞はほとんどなし。
 まぁ、他人から見るとイッちゃっている台詞も俺相手では効果がないので、自然と憎まれ口の方がメインとなるのでしょうが。

 異世界や未来からの来訪者などは珍しい存在でも有りません。俺自身が正に未来人で異世界人である事からも、これは分かるでしょう。それに、UMAも一般的に見つかっていないだけで、現実に存在しているヤツも居ます。例えば、ツチノコなどは蛇の一種などと考えているから見つからないだけ。アレは両生類。そもそも、蛇は鳴きませんから。
 有希を作成した情報統合思念体と似たような高次元意識体との接触と言う実例さえ、水晶宮の方には残されて居ますから。……彼らは自らの事を『神の如き者』と自称していたらしいのですけどね。

「しかし、なぁ……」

 ハルヒから見ると、少し優柔不断だ、と取られかねない言葉を無意識の内に口にする俺。
 確かに彼女の推察通り、奥の手がない……と言う訳ではない。但し、それは歴史改竄を簡単に行える相手をねじ伏せられるほどの絶対的な奥の手、と言う物でもない。飽くまでも人間レベルの野球選手を抑え込める程度の奥の手。
 神を屠る事が出来る能力ではない。少なくとも普通の人間でも再現出来るかも知れない、と言う能力。

 ただ、そうかと言ってハルヒや有希の言いたい事も判る。俺は自分の勝負の勝ち負けよりもチームの勝敗を優先しようとしている。そして、ハルヒや有希は俺の個人的な勝負も重要だ、と言っている。……と言う感じですか。
 いや、双方とも俺がチームの勝敗を優先しようとしている事を、俺自身が逃げているようで嫌だ、と言う風に感じているのでしょう。

 かなり曖昧模糊とした感情ですが、今の有希が発しているのはそう言う雰囲気。明確な理由は説明出来ないけど、何となく嫌。……と言う感じ。

「女の子たちが勝負して、と言っているのだから、勝負した方が良いよ、忍くん」

 ここが思案のしどころ。勝つための策……ただ全力で投げる、だけでは抑える事は難しいので、その為の策を考えようとした瞬間、一塁側のベンチから掛けられる声。
 声の質は若い男性。今と成っては懐かしい声ですが、以前は毎日のように聞いて居た声。

「南原さん?」

 俺の代わりにショートの守備位置から名前を呼ぶ声。
 彼女の呼ぶ名前と俺の記憶の中の声の一致。その瞬間、慌てて視線を一塁側のベンチに向ける。其処……応援の女生徒たちからは少し離れた位置。五メートルほどの鉄製のフェンスの前に立つ男性。身長は確か俺より少し低いぐらいですから、百七十五センチ前後。体型は中肉と言う感じ。俺よりは多少余分に筋肉が付いて居る事は分かるけど、筋肉肉だるまと
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ