第6章 流されて異界
第119話 有希
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してくれるのなら、例え術を封じられたとしてもこの程度の相手を斬って取るのは難しい事じゃない。
七回裏。六組も八番から始まる下位打線。ここも簡単に三者凡退で終わり、得点は十対十五、五点差のまま。
八回の表。巡って来た九番自称リチャードくんの放ったピッチャーライナーも俺の守備を崩す事は出来ずワンナウト。その後、一番、二番共に凡退で終わる。
八回の裏。
先頭の朝倉さんはセンターの好捕に阻まれ、ワンナウト。おそらく、自称リチャードくんの周囲に発生させている悪意が、こちらの運を低下させているのでしょう。天の時を向こうが支配している以上、これをどうにかするのは難しい。アレ――六回の裏に有希を覆い尽くそうとした黒い霧をどうにか出来るのはある程度の術者のみ。朝倉さんはおそらく超科学の申し子ですが、運と言う物は科学ではどうにも出来ませんから……。
あの空間はおそらく、何らかの閉鎖空間。外から干渉しようにも、余りにも短い時間にのみ発生する空間で有る以上、巻き込まれていない時に外から干渉するのは難しい。
六回の裏に有希に対して行われた精神汚染の時に俺が巻き込まれたのは、おそらく、俺と有希の関係に楔を入れる為。確かに、有希が何か俺に対して隠し事をしている可能性は有りますが、それはそれ。
一度、信用すると決めた相手を疑うのは俺の主義に反します。まして、彼女から俺に対して流れて来る感情に悪意が混じる事がない以上、その事を追及したり、無理に聞き出そうとしたりする必要はない、と考えていますから。
それに……。
それに、彼女が俺に対して隠している事柄についてなら、ある程度の察しは付いているので……。
続く俺は相変わらず勝負して貰えずの四球。ワンナウト一塁。
そして四番の有希の初球に盗塁。これでランナーはスコアリングポジションに。
この後――ワンストライク・ツーボールの後の四球目を叩いた打球はライト前へ。打った瞬間にスタート切っていた俺は、三塁を回って本塁に生還。
これで十一対十五。
続く五番の万結はセンターの好守に阻まれツーアウト。ランナーは動けず一塁のまま。
ここで打順は六番の相馬さつき。ここまではほぼ単打ばかり、と言っても良い内容。確かに一本、ツーベースを打ってはいますが、それは落ちたトコロが良く、その俊足を飛ばして無理矢理にツーベースとした当たり。更に言うと打点も稼いではいません。が、それでも四打数四安打。もしかすると術者としての格は、彼女の方が俺よりも高いのかも知れない、と感じさせる成績。
ここも初球。真ん中高めから外角に流れて行くカーブを綺麗に捉えた打球は左中間に。
ファーストランナーの有希は、走っている姿からは高速で走っているようには感じないのですが、実際はかなりの速度。正確なタイムを計って居
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