六十二話:プリンセシア
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かもしれないにゃ」
「……は?」
何を言っているのかと呆れた顔をしながら姉を見つめると、姉は愛おしそうにお腹の辺りを撫でていた。
まさか、すでに子供が出来ているのかと内心焦りながら姉を問い詰めると、まだ分からないという何とも反応し辛い返答が帰って来た。
まあ、要するに自分の姉は昨晩、自分の先輩とごにょごにょしたのだ。
白音は思わずその光景を想像して顔を赤らめてしまう。そんな妹の様子に気づいた黒歌がこれまた嬉しそうに抱き着いてきながら口を開く
「んん? 知りたい? どんな夜だったか知りたい?」
「……妹にそんな事を教えようとしないで下さい。今度から兄様と顔が合わせられなくなります」
「そんなこと言わずにー」
「……しつこい」
恐らく人に話して聞かせるべきことではないであろうが黒歌はどうしても話したいらしく執拗に迫って来る。
白音はそんな姉を心底面倒くさそうな顔をしながら引きはがしていく。
体格的に見れば誰がどう見ても姉の方が、力が強そうには見えるが悪魔の駒の特性上『戦車』である白音の方が単純な力では強いのであっさりと引きはがすことに成功する。
「妹が冷たいにゃー……」
「……冷たくて結構です。そういう事は自分の胸にしまっておいてください」
「私の胸は十分足りてるから胸の少ない白音に分けてあげたかっただけにゃ」
「……表に出てください。新モードであの世まで送ってあげます」
「じょ、冗談だんにゃ! だから、その闘気を収めるにゃ!」
自分のコンプレックスを刺激された白音は修羅の如き威圧感で闘気を纏う。
黒歌は流石に不味かったと思い慌てて頭を下げて謝る。
普段であればこのようなことは言わないのだが、彼女は彼女で求婚されたせいで落ち着きを失っているのかもしれない。
そんなことを考えながら白音は姉の胸部を正に親の敵のように睨みつけて闘気を収める。
自分だっていつかは姉のように、と常日頃から思うもののいくら食べても成長しないこの胸が恨めしいと悔しそうに顔をしかめる。
黒歌はこれ以上ここに居れば妹が自分に危害を加えそうだと感じ取り撤退を開始する。
だが、彼女の背中に声がかけられる。
「……結婚式には勿論出ますからね、姉様」
「……うん」
そんな言葉にじんわりと心が温かくなり、思わず目がにじむのを感じて軽く目をこする黒歌。
そして、再び歩き出し他の者にも朗報を伝えて回るのだった。
何もない荒野に一人の男が立っていた。
浅黒い肌に銀色の髪。筋骨隆々の体を覆う外装は赤色のコート。
強い意志の炎を籠めた青い瞳はその場にはいない精霊達を射抜いていた。
やがて、大きく息を吸い込み、体を沈み込ませる。構えは彼の秘奥義と同じ物。
しかし、
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