2ndA‘s編
最終話〜無慈悲なエンドロール〜
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かった。彼女がこの世界では生きられないことが。
悔しかった。自身の無力さが。
それでも――――――――嬉しかった。
こんな犠牲を強いるような救いしかもたらす事ができなかった自分に、それでもありがとうと言ってくれたことに。そんな自分がどこまでも惨めであった。
『癒し手』
『…………行くの?』
ライが自身の気持ちを必死に押さえ込もうとしている中、リインフォースはシャマルに念話を繋いでいた。
『ああ…………このままでは私の存在が彼の傷になる』
『それは…………』
それは貴女がついていくことでも同じではないか?という言葉を途中からシャマルは飲み込んだ。しかしその考えはリインフォースも持っていた。
『だからこそ、だ。このままでは、彼はどこまでも傷を背負いながら進んでしまう。主には支えてくれるお前たちがいる。だが、彼は一人になってしまう』
元の世界に戻り、今回の件をライは喋らないとリインフォースはどこか確信していた。もしそうなれば、彼に残るのは永遠の後悔と自身への罪科だけだ。
『主を頼む』
『私たちの存在にかけて』
短いが確かなやり取り、そしてリインフォースは決定的な一言を口にした。
「ライ・ランペルージ、未来の私をよろしく頼む」
その言葉はどこまでも澄んだ響きを持っていた。
それはまるで未来を祝福するエールの様であった。
Cの世界
濁流のように意識が流れていく。
そこにいるだけで全てを流されてしまい、自身という個の存在が曖昧になって言ってしまいそうになる。
だが、そんな中で確かに存在する“ライ”という意識が、その場所で自身の存在を正確に認識する。
「…………」
時間という概念が希薄なこの場所に戻ってくることで、先程まで存在していた世界での活動が遠くの昔のように感じると同時に、ごく最近の出来事のようにも感じる矛盾した感覚に陥る。
それをもう異常に感じない辺り、自分が相当毒されているとライは思った。
『『……』』
既にライの意識に寄り添うように、二つの意識が存在していた。その意識は、元が機械ゆえにか、それとも一種の気遣いなのか沈黙を続けていた。
「……明日を望んでいるのに…………救えた命が確かにあったのに…………」
独白のようなその思考はそこで止まる。
続く言葉はなんだったのか?
それは口にしてはいけない言葉かもしれない。それこそ、皇歴の世界で多くの血と命を犠牲にして明日を望んだライだからこそ望んではいけない言葉であったのかもしれない。
そしてそれを理解して
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