2ndA‘s編
最終話〜無慈悲なエンドロール〜
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るが、管理局という組織内ではあくまで一個人的なものでしかない。それに彼女を快く思っていない権力者ももちろん存在するため、彼女にとってはそれに付け入る隙を見せた時点で彼女の権力そのものがハリボテとなってしまう可能性もあるのだ。
それほどまでに闇の書の悪名は大きくなってしまっていた。
「……私が主と離れればその心配もなくなるのだな?」
リインフォースは気丈にもしっかりとした声で訪ねてくる。その言葉にライは頷きで返した。
「ならばこれ以上の結果はない。それなのにお前は私を生かす方法があると言ったのだ。それは私にとっては幸運以外の何ものでもない」
「……っ」
彼女の言葉に若干俯き唇を噛み締めるライ。そんな彼を訝しんだのか、三人は視線を彼に向けた。
それが何秒続いたのかはわからなかったが、覚悟を決めたような表情でライは頭を持ち上げた。そして残酷な現実を口にする。
「違う……………間違っている。リインフォース、今の君を救う事をもう僕にはできない」
「…………………………………え?」
喉の奥がヒリヒリと痛い。こんな中でも、まだ喋らなければならないことに嫌気がさす。
だが、ライはその口を閉じることをしない――――できない。
「僕が元の世界に持ち込めるのはあくまでデータだけだ。だから夜天の書の記憶領域に存在する管制融合騎であるリインフォースのデータを持ち帰り、向こうで再生すれば君と同じ存在を現界させることはできる。でもそれは君であって君じゃない。あくまで君と同じ記憶を持つ別人だ」
それはある意味で残酷な方法であり現実だ。
データからの再生はできる。だが、今ここに存在するリインフォースという“人間”は連れて行くことができない。それはもう消えることを受け入れろというダメ押しなのだから。
「そん、な」
リインフォースが震える声で呟く。それと同時に乾いた音がその部屋に響いた。
「よく……よくそんなことを言えますね!よりにも寄って貴方が!リインフォースに生きる希望を与えた貴方が!!」
音の発生源はライの頬。そして声の主はシャマルだ。
彼女は右腕を振り抜き肩で息をする。それはライが怪我人であることを全く考慮していない平手打ちを彼女がした結果であった。
そしてそれは、追い詰められていたライの中の理性の箍を外すひと押しになる。
「…………じゃあ……じゃあ教えてくれ!!これ以上僕はどうすればいい!!命を差し出して彼女が救えるのであればいくらでも差し出すさ!でもそういうことじゃない、そうじゃないだろう!!そんなので解決できるほど世界は優しくない、誰でもそんなことは分かってる、でも消えてほしくないって思った!生きたいと望んだ彼女の願いを受け取った!なのに…………」
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