episode15
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を悪くしたのかとアーロンが顔を覗き込むが、顔色は悪くない。
「アーロン。僕も、緊張してたみたい...」
そう話すアンカーの小さな手が小刻みに震える。
アンカー自身も気付いておらず、無意識に緊張していることを押し隠していた。笑い合い、話が弾むにつれて緊張は解け、それを押さえていたものもなくなったために起きたのが手の震えだった。
震えを止めるために何度も指を折り曲げる。震えが治まったのと同時に、何かを思い出したようにアーロンの顔を見つめた。
アーロンは小声で驚愕の声を上げながらも、彼女の言葉を待つ。
「......った。...会いたかったよ、アーロン」
「......ッ!」
長い間触れられなかった肌。さらりと風に映える髪。宝石のような黄緑色の瞳。彼は瞬間的に、それら全てを手に入れたいと思った。
胸の中で苦しそうに「アーロン」と聞こえて、ようやく自分がアンカーを抱きしめていたことに気付く。
慌てて体を離し、その場に座り込んで顔を隠す。
頭の中では、自身を叱咤する言葉が繰り返し響き、溢れる気持ちを必死に抑え込んだ。
「悪ぃ...」
「うん、大丈夫」
アンカーの特別な感情を微塵も感じさせない笑顔に、アーロンは落胆しつつ苦笑する。
アーロンは再び、アンカーとの温度差を実感したのだった。
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