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『DIGITAL MONSTER X-EVOLUTION:Another-X』
第一幕:【境界線】
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合統括機構《セントラル》】から、この【NDW(ニューデジタルワールド)】は成り立っている。

…………とはいえ、現在【NDW(ニューデジタルワールド)】は正式稼働前の最終点検前。
この場に居る両者を除けば、伽藍も同じである。
――――ガンクゥモンの言う“箱庭”とは、言い得て妙だった。

「何だ、すると貴公の目的は、修行に適するか否かの下見か」

「端的に言えばそんなところだ。惰弱な世界なぞ、彼奴(あやつ)には不要よ。
…………ふむ、此処は御主の管轄か? デュークモン」

少し呆れた声音のデュークモンだったが、その言葉も殆ど聞き流されているようだった。

「そうだ…………が、どうした。藪から棒に」

言葉通りに周囲を検分していたガンクゥモンは――――ふと、デュークモンに向き直る。

「…………暫くの間、『ウルドターミナル』の管理権限――――儂に譲渡せんか?」

意外な申し出に、少し言葉に詰まるデュークモン。
が、直ぐに言葉は()いて出た。

(われ)は特に構わぬが…………他の者たちに、一言ぐらいの断りは要るだろう」
「それは断る。何故(なにゆえ)に、儂が(うかが)いを立てる様な真似をせねばらなん」

予想通りのガンクゥモンの反応に、デュークモンも用意していた言葉を返す。

「皆への()()と云うものがある。それにこうでもしないと、貴公は中々召集に応じないではないか。
いい加減、存在も怪しまれ始めているぞ。それでも良いのか?」

「好きにさせておけば良い。浅慮短慮な輩なぞ、一々相手にしてはキリがないわ」

だがガンクゥモンも、頑なに首を縦に振ろうとはしない。
ならば、とデュークモンは切札を切った。

「…………ガンクゥモン、これは貴公の為ではない。貴公の弟子を想っての忠告だぞ」
「…………何?」

間髪入れず、デュークモンは続ける。

「たしか今、貴公の弟子は『ベルサンディ』に居ると言ったな…………。
良いか? 『ベルサンディ』の担当は、“オメガモン”だ。
正式稼働前の【NDW(ニューデジタルワールド)】に無断侵入した上に、事前申請無しで“入界(ログイン)”したとあっては、
問答無用で討滅されてしまうぞ?」

――――“オメガモン”。
『厳粛なる正義の執行者』。『白銀(しろがね)の聖騎士』。『闇に終止符を打つ者』。
呼び名は数あれど、それらが示すのは尊敬と畏怖。
【デジタルワールド】で、彼の名を知らぬ者は居ない。

む、とガンクゥモンは唸った。
少しの逡巡はあったが、(さすが)に修行の一環としては、厳し過ぎると判断したのだろう。
額を掻きながら、観念したように嘆息した。

「仕方無い。今の彼奴では、まだ荷が勝つ
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