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ダンジョンに復讐を求めるの間違っているだろうか
不在発見
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遇よね、ノエルさんは」
 「あっ、ミネロヴァさん」

 その様子を眺めていたリズの横にいつの間にかミネロヴァの姿があった。

 「ミネロヴァ、いるのか!」

 金髪のエルフ、名をノエル、はリズの声にぴくりと反応すると、音が聞こえる程の勢いで顔を上げた。
 そして、ミネロヴァの姿を認めると、ドガガガガッという床が抜けるのではと思うぐらいの音を立てながら、二人の方に疾走した。

 「デイドラを見ていないか?」

 ノエルはミネロヴァの手前で急停止すると、鬼もかくやという形相で言った。

 「へっ?デイドラ?」

 普段ならば、ノエルの鬼の形相に縮み上がっていてもおかしくないリズだが、胸に抱えていたバスケットを取り落とし、ぽかんとしているだけだった。

 「見ていないわ……………………いなくなったのね」
 「………………ああ」

 ミネロヴァの至って冷静な言葉にノエルは苦々しく首肯した。

 「い、いなくなったってどういうことですか!」

 その首肯にリズは思わず叫んだ。

 「君は…………」

 ここで初めてリズの存在に気付いたノエルは悲痛に叫んだ少女を見る。
 そして、すぐにその少女がデイドラに救われた人物であり、またデイドラに特別な気持ちを寄せているのだと瞳を見て、たいした根拠もなく思った。

 「デイドラは短刀を持って消えた。恐らくは――」

 だから、ありのままを伝えようと思ったが、言い終えるより早く、リズは踵を返し、走り出していた。
 どこへ向かうかは容易にわかった。

 「おいっ!どこに行くっ」

 だが、リズはノエルが止める間もなく、ロビーから外へと飛び出した。

 「冒険者依頼をしに来たのでしょう?報酬をどうするつもりかだけ言いなさい。後は私がするわ」
 「わかった、かたじけない」

 と言ってから、ノエルはファミリアの全財産に迫る金額を言い、駆け出していた。

 「あ、それと、素が出てるわよ、ノエルさん」
 「っ!」

 ミネロヴァの一言にノエルは肩を飛び上がらせるように震わせたが、足を止めることなく、リズが姿を消した方へ疾駆した。
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