不在発見
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、ようやくリズは受付に辿り着いた。
リズはそれなりの時間立ったまま待たされたが、口元には曇り一つない笑みが浮かんでいた。
それは、曲がりなりにも彼女が冒険者で立っていることがそれほど苦にならないことも少々含まれるが、ほぼ全ては彼女の胸に宝物のように抱えられているバスケットに起因している。
そのバスケットからは、心なしか、ほのかに食欲をそそる匂いがする。
「在席していますが、どのような御用件でしょうか?」
いいことがあったように笑顔のリズにヒューマンの受付嬢が他の冒険者に対するように見えない壁を張った対応をする。
「え〜と、う〜と」
その対応にリズは言葉を詰まらせる。
もちろん、用件がないわけではない。それどころか、その用件は必ず遂行されなければいけない重大ミッションだ。
しかし、それは赤の他人に面と向かって言うには憚れる極秘ミッションでもある。
「渡したいものがあって!」
リズは思い付いた胡麻かしを反射的に言った。
「それは、個人的な贈与、ということでしょうか?」
「え〜、あ、はいっ」
(ぞうよってなんだろ?)と思った少し知能の発育が遅れているリズだったが、適当に答えた。
「それになりますと、ギルド職員は、職務規律により、理由の如何を問わず、職務中に贈与物を受け取ることを禁止されておりますので、大変申し訳ありませんが、お引取りください」
「は、はぁ〜」
「御用件が他になければ、後ろの方とお代わりください」
(リズにとって)難しい言葉が並び何が何だかわからず返答に困っているリズに受付嬢は事務的な口調で言った。
「うぅぅぅ」
途方に暮れて唸るリズだったが、背後で上がった怒声に救われる。
「おい!ちゃんと並びやがれ!」
「煩いっ!緊急の用件なのだ!」
怒声は二つ上がっていて、男女のもののようだった。
そして、それに重なるように散発的にヤジが上がった。
――だが、
「いや、待て、お前、もしや【冥境の傀儡師】か!」
「私をその名で呼ぶなぁ!」
「逃げろ!操られぞ!」
怒声とヤジはすぐに悲鳴となってロビーに響き渡った。
それと同時に蜘蛛の子を散らすように冒険者がロビーから逃げ出す。
その中には全身を重厚な鎧で固める重撃型の大男もあった。
受付の前に残った者はこの事態を引き起こした金髪のエルフと騒ぎに動じなかった見るからに歴戦の勇者然とした冒険者数人だった。
そのエルフ以外の者達は此れ幸いとばかりに受付に向かったが、そのうちの数人が俯き何かを堪えるように肩を震わせているエルフに同情の眼差しを送りながら横を通り過ぎる。
「不
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