sts 16 「新たな脅威」
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狙われているのはヘリに間違いない。
だけどここからではどんなに急いだって間に合わない。そんな考えを持った直後、無表情の女の子はヴィータ副隊長に向けてもう一言言葉を発する。
「あなたは……また守れないかもね」
「っ……!?」
ヴィータ副隊長は大きく目を見開きながら悲鳴にも似た声を漏らした。遠くの空にヘリの居る方向へ翔けていく破壊の光が見える。
……直撃。
そうとした思えない爆発が見えた。ロングアーチからも直撃といった言葉が聞こえてくる。僕達からは余裕がなくなり始め、ヴィータ副隊長は無表情な女の子に掴みかかった。
「てめぇ!」
「副隊長、落ち着いて」
「うっせぇ! おい、仲間が居んのか。どこにいる? 言え!」
先ほどの一言が効いているのか、スバルさんを振り払いながらヴィータ副隊長は感情を顕わにして捲くし立てる。だけど女の子は顔色を全く変えずに黙秘したまま。
普段と全く違うヴィータ副隊長の姿に僕の意識は完全にレリックから離れてしまい、地中から現れた新たな敵にケースを奪われてしまう。その後、確保していたはずの召喚師の子も連れて行かれてしまい、アギトという融合騎もいつの間にか姿を消していた。
「反応……ロストです」
「くそッ! ……ロングアーチ、ヘリは無事か? ……あいつら……落ちてねぇよな!」
ヴィータ副隊長の叫びから数秒後、ジャミングがなくなり始めたのか通信が入る。けれどそれはロングアーチではなかった。
『安心しろヴィータ、ヘリは無事だ』
最初はノイズがあったけれど、回復した後に聞こえてきた落ち着きのある声は間違えようがなかった。
表示された画面に映っているのは、セイバーさんとユニゾンしたのか金髪碧眼になった兄さん。手に持たれている剣は見慣れた両刃の長剣ではなく、巨大な片刃の剣だった。腰にあった剣がないところを見ると、ファラさんをベースに合体したのかもしれない。
『だから泣くなよ』
「――っ、別に泣いてねぇよ!」
『そうか、なら俺は俺の仕事をさせてもらう』
そう言って兄さんは、なのはさんとフェイトさんの名前を呼びながら砲撃を放った敵へ向けて飛翔する。見慣れない兄さんの姿に違和感がなかったわけじゃないけど、それ以上に今の兄さんは普段よりもとても頼れる存在に見えた。
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