第四十五話【INグリード・アイランド編】
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一睡もできなかった。
日が昇ったけれど、あたしはぜんぜん動く気になれなかった。
一日ずっと岩陰で座っていたけれど、誰も助けに来てくれない。
パパも…ママも…
寂しい…怖い…お家に帰りたい…
あたしは空腹も忘れるくらい頭がぐるぐるして、両手をぎゅっとにぎり、目をつむった。
目を開けたらお家に戻っていると思いたかった。
気が付いたらまたお日様が昇っている。
どうやらまた一日過ぎたらしい。
このままあたしは死んじゃうんだ…死ぬのは怖いけど…でも死んじゃうんだ…
だんだん意識も朦朧としてきた。
死ぬのは嫌…まだ生きたい…パパに…ママに会いたい…
うぇ、やだよぅ…
散々泣いて、もう出ないと思っていた瞳からまだ涙が流れてくる。
その涙はあたしの手のひらよりも暖かく感じた。
その時。
「君がリオ・ウェズリーで合ってる?」
あたしの知っている言葉で話しかけられたあたしはその言葉の発生源を捜して力を振り絞って顔を上げた。
side out
ソラ達と別れて捜索し始めた俺達は直ぐに魔法によるサーチを行使する。
『円』を使うよりも生物の特定は不得意だが、範囲は広い上に今の念能力者が多く居るであろう現状では察知されにくい分有用だろう。
魔力の回復が少ない事に不安はあるが、使用魔力もバスターほど食うわけでもない。
とは言え、感知された所へとサーチャーを飛ばすなどして確認する等、結構の消費は有ったが、無駄な争いを避けられたのは大きい。
最初にサーチに触れたのが大人の男性だった事には、一応役目は果たしているだろう。
余計な接触は回避出来た訳だしね。
しばらく走りながらサーチを繰り返していると、未だ草原を抜けない所に生命反応を感知。
すぐさまサーチャーを飛ばしてみるとどうやらビンゴのようだ。
黒髪にリボンの幼女。
事前に貰っていた顔写真と一致する。
「ここから2キロ位だね。幸いこの草原は未だモンスターは出現しない。幸運だったな。…フェイト、飛ばすよ」
「あ、うん」
俺たちは念で四肢を強化して走る速度を加速させる。
2キロなんてものの数十秒だけど、それでも一秒でも早く保護して上げないとな。
全速力で走ると、フェイトを少し引き離してしまったようだが辺りには他に生体反応は無かったから大丈夫だろう。
視界に少女を捕らえて俺は減速する。
急激な減速で負荷が掛かるけれど、念で強化されているから問題はない。
目の前の少女は泣いていた。
無理も無い、今まで外で一人で夜を過ごした事なんて無いだろう。
俺は確認するべく声を掛ける。
「君がリオ・ウェズリーで合ってる?」
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