巻ノ二 穴山小助その十三
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「まことに」
「そこまでの方に会われるとは由利殿も果報者ですな」
「全く以て」
「無論穴山殿も」
雲井は穴山にも述べた。
「これは幸村殿は末はまことに豪傑に囲まれた国士無双の方になられますな」
「国士無双ですか、それがしが」
「はい」
その通りだとだ、雲井は幸村にも答えた。
「なられます」
「そうなりたいですな、天下万民を助け義を貫ける」
「義をですか」
「はい、全ての義を」
「義、ですか」
「仁義、礼儀、信義、忠義、孝義とありますが」
そうした義をというのだ。
「貫いて生きたいのです」
「戦国の世であってもですか」
「例え戦国の世でも義は欠かせぬもの、そう思うからこそ」
「大変なことだと思いますが」
「難儀なぞものともしなくては」
そうでなければというのだ。
「何事も貫けぬかと」
「そうも思われていますか」
「はい、ですから」
「左様ですか、義ですか」
「そうです、それがしはその為に生きたいです」
「例え難しくとも」
雲井は感嘆する様にして言った。
「そうされますか」
「何があろうとも」
「ではその様に生きられて下さい」
雲井は微笑み幸村にこうも言った。
「何があろうとも」
「義、でありますか」
由利もここで幸村に言った。
「幸村様はそれを貫かれたいのですか」
「左様じゃ」
「この戦国の世では大変ですが」
「それは承知のうえじゃ」
雲井に話した通りというのだ。
「拙者もな」
「それでもですな」
「拙者は義に生き義に死ぬつもりじゃ」
「ではその義にそれがしも一緒に進んで宜しいでしょうか」
「無論それがしも」
穴山も言って来た、幸村に。
「お供させて頂きます」
「頼むぞ」
幸村に二人の者が来た、まずは二人だった。幸村は諏訪においてまずは二人の掛け替えのない家臣を得たのだった。
巻ノ二 完
2015・4・18
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