九校戦編〈下〉
九校戦六日目(1)×試合前の全席満員御礼と第三高校から宣戦布告
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一条将輝。ま、十師族の者だから自然とリーダーみたいな風格を取るのだろう。そんでその眼は俺と分身体を交互に見ていた。
「同じく第三高校一年の吉祥寺真紅郎です。そちらの名無しさんとは一度会ってますよね?」
小柄な方は丁寧口調ではあるが、挑発的な眼差しで古風な名前を名乗ったと同時に一度会った事はあると言ったので、分身体は無言で頷いた。
「第一高校一年、織斑一真だ。そしてコイツも同じく第一高校の名無しで蒼い翼特別推薦枠を取った者。で?『クリムゾン・プリンス』と『カーディナル・ジョージ』が試合前俺達に何の用だ?」
害意や敵意は感じないし、友好的な態度でもなさそうだ。思う浮かぶ言葉なら、剥き出しの闘志である。俺は、一条と同じく初対面の人間相手に乱暴な言葉である普段通りな態度で応じた。上辺だけの礼儀を取る必要性を感じないし、コイツらの事を弱者だと思っているからだ。
「ほう・・・・俺の事だけでなく、ジョージの事まで知っているとは話が早いな」
「おりむら・かずま・・・・聞いた事が無い名です。ですがもう忘れる事はありません。恐らくはこの九校戦始まって以来の天才技術者。試合前に失礼かとも思いましたが、僕達は君の顔を見に来ました」
「弱冠十三歳にして『基本コード(カーディナル・コード)』の一つを発見した天才少年に『天才』と評価されるとは恐縮だが・・・・確かに非常識だな」
自分勝手な言い草に対して、侮辱を言いに来た事ではないのであえてそういう返答をした。コイツらも織斑家の事を知らない愚か者だそうだな、二人だが。互いが逆上している訳ではないので、敵は意志を持って敵を見据える構えでもあった。
「深雪に名無し、先に準備してこい」
何か知らんが、もう少し相手をしなければいけないような気がしたので目線を動かさずに、深雪と分身体にそう指示したのだった。
「分かりました」
「了解。俺も先に行って準備してるわ」
分身体の声は俺ではなくCB内にいるボイスを基本とした声に設定している。なので俺が名無しだとバレないようにしているので、二人は俺が名無しだとは気付いていなさそうだった。深雪は一礼して名無しと共に、一条達がそこに存在しないかの如く一瞥もせずに控え室へ入った。目を逸らすという素振りもなかったので、自然的な無視であったが、一条の眼は深雪の姿を追いかけながらだったので声をかけた。
「・・・・『プリンス』そっちもそろそろ試合じゃないのか?それと精々決勝で名無しに一本でも氷柱を倒してみせろ」
見間違えの無い動揺と未練を見て取った俺は、気が抜けたかのように呆れていた。その事で一条は、返事が詰まってしまった。
「・・・・僕達は明日のモノリス・コードに出場します」
代わりに応えたのは吉祥寺だった。吉祥寺は新人男
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