幕間 二
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。私の意思で、隠していて。
彼女は。ネクロマンサーと同じ鍵を、私の持つ鍵を探し続けている。
彼女は鍵を使って、装置の破壊を。自壊機能の作動による、全ての破壊を望んでいて。あの装置が有るから……死体操作術があるから、道を違えてしまったのだと。狂気に侵されてしまったのだと。
母と仰ぐ、彼女の目を覚まさせるには。自我が壊れるその前に、装置を壊すしか無いのだと。
「……クイーン」
不安を残しながらも。綻んだ頬、浮かべた笑み。それは、出来るかどうかも知れない約束。私の言葉を。信じた上で浮かべた笑顔で。
言うべきなのだろう。私の中にあることを。装置の鍵、彼女等の探す装置のキー。私が持っていることを。
しかし。伝えようと。伝えなければならないのだと。口を開けど。
「なんでしょう、バルキリーさん」
鍵を抜けば。私は、私のこの自我は。消えてしまうこと。本来の役目、作られた理由。終えた私は、その場で記憶を消去されて。そして、機能を停止すること。再びキーを差し込んだとしても、もう。其処にいるのは、きっと、今の私ではない。同一の自我と接続しても、失われた記憶は蘇りなどせず。私は居なくなるのだと。
私は。私は、彼女から。
離れたくなんて。
「……なんでも、ない」
伝えなければならない言葉を。紡ぎかけた言葉を飲み込む。
私は、未だ。言葉を。彼女の求めるその言葉を。
伝えることが、出来ないままで。
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