6.羽ばたく時を信じて
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。極めれば君の力となる………さて、今日はここまでにしよう」
「………ありがとうございました!!」
礼に則って一礼したイデアは、納得がいかないように弾かれた剣を拾って素振りを始めた。
年頃の女の子らしからぬ剣を追求するその姿に、カミイズミは苦笑いしながら自分の足元を見る。
「まったく、子供というのは本当に成長が早い……」
イデアは気付いていないようだが、彼女が赤ん坊の頃から見てきたカミイズミはその成長を肌で感じていた。
今まで始まりの立ち位置から一歩も動かずに彼女の剣をいなしてきたが、今日の両手持ちの一撃の衝撃はカミイズミの足を一歩分後ろに押し込んでいた。彼女は今日、確かにカミイズミの高みへ一歩近づいたのである。
「励めよ、イデア。そして広い世界を見て、聞いて、感じて来い。さすれば君も……」
エタルニア公国軍元帥令嬢にして、カミイズミが直接師事する弟子。
『聖騎士』の娘にして『剣聖』の剣を受け継ぐ……それはつまり、この国の次期元帥の名を背負うに等しい期待をその背中に背負っているという事でもある。まだ成人にもなっていない少女の行く末を、国中が見守っているのだ。その期待を背負い、彼女は逞しく成長を続けていた。
雛鳥が羽ばたく日がそう遠くない事を、カミイズミは予見した。
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