6.羽ばたく時を信じて
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ボクの恩恵で発現したものではない。恐らくは「暗黒雲海」から何かの拍子に漏れ出した、元来彼の持っていたモノ……)
「神様」
「ん?何だい、ベル君?」
不意に、思考を現実に引き戻される。
一緒にリングアベルを眺めていたベルが、こちらを見つめていた。
「僕は、リングアベル先輩と神様が何を隠しているのか分かりません。多分だけど、それこそ僕が知るにはまだ早いようなことを話しているんだと思います」
「………ごめんね、ベル君。いつかきっと知らせるから、今は――」
「いいんです。僕、思い上がってました。ダンジョンではしゃいで、子供みたいに意地張って、それでリングアベルさんはあんな無茶をすることになった」
「リングアベルにだって非はあるさ。なにも一人で行くことはなかったじゃないか……やっぱり無茶する子だ」
「ごめんなさい………でも」
ベルは静かに自分の手元に視線を落とした。
それは自分の無力さを嘆くようで、でも決して力ない目ではない。未来を見据えた強い目だった。
「いつか、僕も二人が安心してその秘密を打ち解けてくれるような強い男になります。派手じゃなくてもいいから一歩一歩踏みしめて……夢のために、ファミリアのために、何よりも弱い僕自身の為に」
「ベル君………」
「だから……僕の事を見ていて下さい、神様!リングアベル先輩みたいな男になれるのはいつになるか分かりませんけど……絶対に誰かに格好いいと言ってもらえるような立派な冒険者になって、神様が笑顔でダンジョンに送り出せる立派なファミリアになります!!」
何て逞しい子だ――そう思った。細い体のどこからそんなエネルギーが湧いてくるのか。
でも、だからこそ彼等ファミリアが愛おしい。
「………君たちは既にボクの誇りだよ。家族の為に体を張れる立派な男の子に、そんな家族の為に真剣になれる男の子。自慢しない訳がないじゃないか!」
成長を誓った小さな鐘をヘスティアは抱きしめた。そして、このままだと不平等だからリングアベルが起きたら同じように抱きしめてあげようと思った。
これから、沢山の苦難があるだろう。
沢山の冒険と、沢山の危機が訪れるだろう。
でも、ヘスティアはその時こう思ったのだ。
ボク達なら、きっとどんな困難も乗り越えていけると。
だって、この世界に無駄な出会いなど――何一つないのだから。
この運命の出会いは、未来永劫決して消えることはない。
= =
エタルニアは世界最北端に位置する雪と極寒の国である。
かつてエタルニアは正教の直轄地であり騎士団の多くを抱える場所だったが、ある時から正教と激しいいざこざを起こして、当時の法王の名において独立が宣言された。そのため正教の実働部分の半分以上を
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