6.羽ばたく時を信じて
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「んん……イデアぁ……そんなに逃げなくても……くかー」
「まだ会ってもない女の子の尻を夢の中で夢中に追いかけ回すとは……珍妙にも程があるんじゃないか、リングアベル?」
疲労から眠っているリングアベルの頬を、ヘスティアはぺちぺち叩いた。一瞬眉にしわが寄ったが、それでもしばらくは起きる気がないらしい。まぁ、ミノタウロスに薙ぎ飛ばされておいて勝手にウロウロされるとそれはそれで困るのだが。
どことなく幸せそうな寝顔のリングアベルだが、受けたダメージは決して浅くはない。傷はポーションで塞いでいるが、体力的な消耗はかなりのものだ。
リングアベルは半日ほど前に一度目を覚まし、その時に話が出来た。あわやファミリアを二人とも失う所だったヘスティアは、ベルも勿論だが無茶したリングアベルも盛大に叱り飛ばした。結局、二人とも反省していたためにあまり強く叱れなかった。
その後リングアベルは食事を要求したり、騒ぎを聞きつけたギルドの語尾がカタカナの受付嬢がどこからともなくやってきてごはんアーンを敢行したり、ミノタウロスに投擲した槍が破損したことを知り少し寂しそうにしたり、果てはベルの一目惚れ話を聞いて「俺を差し置いて美女とお近づきに!?ずるいぞッ!!」と叫んだりいつも通りの態度を見せ、少し前に眠ってしまった。
ひょっとしたら、そんなの調子は良くなかったのに格好つけて無理していたのかもしれない。
リングアベルならあり得るな、と少し口元が緩んだ。
「神様。イデア……って、誰ですか?」
「リングアベルがゾッコンな女の子さ。直接会ったこともないんだけどね?」
「会ったこともない女の子に既に惚れているとは……さっすがリングアベルさん!僕なんか漠然と出会いたいとしか考えてなかったのに、名前まで把握してるなんて!」
「順調に毒されているようで結構だね………はぁ〜」
こんなでも、ヘスティアにとってリングアベルとベルはすごく良い子なのだ。
リングアベルは女の子にだらしないしどこか飄々としているが、忠告は聞くし約束は守る。ヘスティアの下に必ず戻って来てその日の成果を報告し、一緒に食事をとることを欠かさない。時々夜の街に遊びに行くこともあるが、行く前にはしっかり出かける旨を伝える自己管理の出来た男の子だ。
ベルはベルで、少々夢見がちな所こそあるものの、ヘスティアを敬いきちんと言う事を聞いている。なによりも子供らしい愛嬌があり、庇護欲を掻きたてられる。リングアベルが隣にいてほしいタイプなら、ベルは手を引いてあげたいタイプだった。
そんな二人は、全然性格が違うようで根底は結構似ている。
能天気気味で、女の子と出会い関係を持つことが行動原理。髪の色も少し近いし、何より冒険者としてのポテンシャルが高いのも共通している。それが
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