暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアートオンライン 無邪気な暗殺者──Innocent Assassin──
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〜銃声と硝煙の輪舞〜
開戦は歓声とともに
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装も、マップの知識も持ち合わせていない少年にはあまり意味がない。
軽く視線を下に向け、レンは己の手中に収まっている無骨な鉄の塊を眺めた。
イサカM37。
それがレンの唯一の銃の名だ。
銃種
(
カテゴリ
)
は
散弾銃
(
ショットガン
)
。12ゲージと呼ばれる散弾を計五発撃てるらしい。だが、そこまでは普通のショットガンなのだが、少年の持つイサカの大きな特徴はそこではない。
軽いのだ。弾丸の重量を無視した場合の総重量2.3キログラム。しかも少年の持つモデルは
銃身を短く切り落とした
(
ソードオフ
)
という型だ。ブラッシュアップされた銃身は、その重量をさらに軽くしているだろう。
そんな、世界で最も軽いと言われているイサカに冠せられた通称は《フェザーライト》
ハンドガン一つで眉をひそめるくらいの貧弱さをあらわにしてしまったレンにとっては、ここが威力と装備可能重量の最大限の譲歩だった。
右手でメニュー・ウインドウを呼び出し、ALOのものとよく似ている装備ウインドウの武器欄に、主武装として《イサカM37》の名前があるのを確認する。副武装の銃器は持ち合わせない。これ以上重量が増せば、レンの持ち味である速度を殺しかねないからだ。しかし、お守り感覚としてはカーゴパンツのベルト部に引っかけている革製の
鞘
(
シース
)
に収まっているマットブラックのサバイバルナイフが上げられるだろうが、飛び道具である銃相手にどこまで通用するのかは完全な未知数。
そこまでを確認した少年は再び視線を上げ、残り時間のデジタル表示がのろのろと減少していく様をぼんやりと眺めた。
脳裏に浮かぶのは、つい先刻拳を交わしあった二人の少女達の姿。
あの時、思わず――――思わず、思ってしまった。
目の前に存在し、話をしている《モノ》は、敵か、味方か。どっちなのだろう、と。
勿論、今この瞬間はまず間違いなく味方なのだろう。同じ戦場を文字通り駆け抜けた戦友という意味で。
無論、本戦の最中に顔を見合わせたら敵なのだろう。悪意の入る余地ない純然たる好敵手という意味で。
少年が思案するのは、シゲクニ老から頼まれた件込みの問題である。
すなわち、死銃という悪意のフィルター。
この少女達の今までの言動が真実の姿だと、彼女達以外の誰が証明できるだろう。これまでの気質から推し量れるリラ達の人柄は決して悪いものではない。しかしそれは、あくまで死銃云々のフィルターを通さないものであり、通した場合この二人であってもレンは信用しない。
つまるところ、少年の信用を勝ち得ているのは、傍らにいる《絶剣》と呼ばれた少女ただ一人である。そしてそれは、あの《黒の剣士》と呼ばれる少年すらも除外される。
少年の猜疑心は、"そのレベル"まで膨れ上がっていた。
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