生命を消す者
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る。
「では、これにて」
ファウストは次に、ココの方へと向き直る。
「ココ!これからもよく走れよ!」
「!? はい!!」
ココは力一杯の返事をし、ボロボロと泣く。
ファウストはそんなココに背を向けて、その場をあとにする。
次第に小さくなるファウストの背中を見て、ジェラールはあるポーズをする。
それは・・・アースランドで妖精の尻尾の仲間たちに教えられた、【例え姿が見えなくても、例え離れていようとも、私はあなたを見守っている】というサインだった・・・
ジェラールはファウストの姿が見えなくなるまで、そのポーズをして、ファウストを送り出す。
ファウストが見えなくなり、ジェラールたちが城の中に入ろうとした時、
「ジェラール!」
ジェラールの名前を呼ぶ声がして、そちらを振り返る。そこには、シリルが腕を組んで立っていた。
「シリル・・・」
「お前らしい処分を下したようだな」
シリルはジェラールのそばまで歩み寄ってくる。
「ところで、話とはなんだ?」
「アースランドのシリルと、最後に何か話していただろ?何を話していたのか、気になってな」
「別に・・・なんてことのない世間話だよ。そんなことなら、俺はもう帰るぞ?」
「待て!」
シリルが背を向けて帰ろうとしたが、ジェラールがそれを引き止める。
シリルは再び、ジェラールに向き直る。
「・・・お前には、さんざん迷惑をかけたようだったな・・・すまなかった」
「そんなことか。気にするな。俺も・・・何気に楽しかったしなぁ」
暗い顔のジェラールと正反対に、シリルは笑顔を見せる。ジェラールはそんなシリルを見て、本題へと入る。
「もし・・・できるのであれば、お前にも俺と一緒に、国の再建を手伝ってほしい」
「いやだ」
「!!」
ジェラールはシリルのまさかの答えに、驚いてしまう。
「冗談だ。もちろん手伝ってやる。だがな・・・俺はアースランドの俺と約束したんだ」
「約束?」
「あぁ。【ウェンディを大切にな】という約束をな。だから、俺はウェンディを悲しませることはしない。ウェンディのそばにずっといてやるのだよ。
それゆえに俺は、国の再建を最優先にはできん。わかってくれるか?」
シリルの真剣な目を見て、ジェラールはうなずく。
「わかった」
「ふっ。では、俺はウェンディの元に帰らせてもらおう」
シリルは踵を返して、
「おっと、忘れてた」
帰ろうとはせずに、またジェラールを向いて、ジェラールを指さす。
「アースランドの俺が、がっかりするような王にはなるなよ!」
「!!・・・ああ。もちろん」
ジェラールのその答えを聞いたシリルは笑顔でその場から立ち去った。
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