第7話「イカナル時ニモ笑顔ヲ絶ヤサナイ」
[3/6]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
、彼の足元にも及ばない陰陽師の自分が刃向かったところで敵うはずもない。
暴れる闇天丸は口から不気味な妖気を放ち、瓦礫の残骸と化した会場を黒く染め上げる。
闇が広がる。
青く澄んだ空に。
笑顔が溢れる江戸の街に。
圧倒的な闇の力に飲みこまれてしまう。
この世の全てを闇で覆うまで、闇天丸は止まらない。
もう誰にも止められない。
その場に崩れ落ちる結野アナに暗い陰が差しこんでいき――
次に、もう一つ大きな影が彼女を照らした。
木刀を手にする銀髪の侍が結野アナに背を向け立ちはだかったのだ。
「坂田さん何してるんですか!?逃げて下さい!」
「逃げる?とんでもねー台風警報出てる江戸に、雨宿りできる場所なんざもうないでしょう。俺ァここで十分ですよ。依頼を受けたからには最後まで付き合います」
「何ふざけたこと言ってるんですか。依頼なんてもういいから逃げて下さい!」
闇天丸が復活したと同時に、江戸には叩きつけるような雨と風の巨大な嵐が吹き荒れていた。あの邪神が生み出した空に広がる巨大な暗雲のせいだろう。
暗雲はやがてこの世の全てを覆う。今ここで闇天丸と戦ってもどうにもならない。
無関係な万事屋をこれ以上傷つけないために、結野アナは何度も逃げるよう訴える。
だが銀時は全く退く素振りを見せない。
「侍は一度護ると決めたモンは自分の命張ってでも護る馬鹿な生き物なんですよ」
力強く、されど口元に微笑を浮かべて銀時は振り返る。
「俺ァあなたの笑顔にいつも元気づけられてきた。だから今度は俺たちが元気づける番だって、前に言ったでしょ。もうそんな表情しなさんな。いつもの笑顔浮かべて見てて下さい、俺たち万事屋銀ちゃんの活躍を!」
木刀を振りかざして銀時は闇天丸へ突っこんで行った。
無謀過ぎる姿に、結野アナだけでなく巳厘野衆も呆然としてしまう。
「お前ら何やってるアルかァァ!!もう敵だ味方だいってる場合じゃないネ!このままじゃ結野家も巳 厘野家も全部ひっこぬかれて江戸は何にもなくなっちゃうネ。力を貸すアル!」
巨大な鬼の腕にしがみつく神楽の声が響く。小さな身体で闇天丸に立ち向かう少女の姿に心動かされ、ずっと見ているだけだった巳厘野衆の陰陽師たちは法術を唱え始めた。
そこにわずかな希望がかすめる。
だが闇天丸は立ち向かう神楽や巳厘野衆を軽々と払いのけ、何度攻撃を受けてもものともしない。
圧倒的な鬼の強さに成す術もない。やはりダメだと結野アナは希望を見失ってしまう。
――どうしてこうなってしまったの?
――これも一千年続く結野と巳厘野の因縁の宿命のせい?
――いいえ、違うわ。
――こうなってしまったのは……全て私のせい。
――兄様は結野家と
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ