豊饒の女主人
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か知ってるんじゃないかな?」
確かに、と思ってシルさんを探してみると、どうやら、カウンター席の方で一人の冒険者とお話し中のようだ。白髪に深紅の瞳でまるで兎な少年だった。
と、そこで
五年前、前世の記憶を少しだけ思い出した。
「……って、主人公じゃねぇか……っ!」
「ん? 式、どうしたんだ?」
「あ、いや。何でもないです、はい」
そうか?と首をかしげるハーチェスさんは気にせず、食事を続けるが、それどころじゃない。
俺はこの物語を少ししか知らない。が、最初の方は知っている。
そして、当然、この場面も
バルドル様、逃げて!超逃げて!
が、少し遅かったようだ。
ドッと入店してくる十数人規模の団体が現れた。
彼等は、先程、俺が見つけた空いた席に座っていく。
種族が統一されていない冒険者達。
俺は知っている。
前世でも、そして、この世界で生きている今も
『……おい』
『おお、えれえ上玉ッ』
『馬鹿、ちげえよ。 エンブレムを見ろ』
『……げっ』
先程、俺達の方を見ていた冒険者達の視線を集める団体。
団員達の服に印された道化師のエンブレム。
『あれが』『……巨人殺しの【ロキ・ファミリア】』『第一級冒険者のオールスターじゃねぇか』『どれが噂の【剣姫】だ』
畏怖を込められた周りの声。
それは俺達【バルドル・ファミリア】も例外ではなく、スウィードなんかはひぇ〜といった様子でその団体を眺めていた。
「……お? バルたんやないか!」
「ろ、ロキ……なんで君がここに……!?」
席に向かう集団の中、朱色の髪の女性がバルドル様を発見した。
バルドル様がいった通り、何を隠そう、彼女こそが【ロキ・ファミリア】主神、ロキ様なのだ。
まぁ、女性とはお前ないほど胸がないお方だけども。
と、心の中で呟いておく。口に出したらえらいめにあうかもだし
「なんや、そない嫌な顔せんといてぇな。うちとバルたんの仲やないか」
「それを君が言うのかい!?」
悲鳴に似たバルドル様の叫びが響く。
この神様達、なんでも、天界からの知り合いらしいのだが、バルドル様は何度もロキ様の手によって女装をさせられたトラウマを持っているらしく、今もなお苦手としているようなのだ。
「で? この子らがバルたんの眷族らなん?」
「……そうだよ、ほら、君も子供達が待っているだろ。早く行っちゃえ」
「つれんな〜バルたんは」
ほなな、といって自身のファミリアの団員達の元へと戻っていくロキ様の背中を睨み付けているバルドル様をハーチェスさんが宥める。
だが、俺はその間、ロキ様が戻
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