豊饒の女主人
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。
これに困ったリューさんは、さらに慌てた様子で俺を立たせようとするのだが、あいにく、このときの俺には何も聞こえていなかったのだ。
ガンッ!
「営業妨害するなら、他所へ行きな」
「さ、シルさん。俺達の席は何処かな?」
「え、ああ。こちらです」
切り替えって大事だよね!
シルさんに案内されて席まで足を運ぶ俺だったが、席についたところで大事なことに気づいた。
……この花、どうしようか……
折角買った花なのだが、食事の間ずっとここに置いておくのもマナー違反というものだ。
他の人になんてもっての他だ。そうするくらいなら俺が部屋に飾る。
そんなことを考えていると、スッ、と横から花束に手が伸びた。
驚いて振り替えると、そこにいたのはそっぽを向いて花束を抱えるリューさんだった。
「……その、今度からは時間も考えてください」
それでは、と言い残したリューさんはそのまま厨房の方へと戻っていった。
「……あかん、俺死ぬ……!!」
主に、悶え死ぬという意味で!!
ーーーーーーーーーー
「なにしてんの? 式」
「……死にそうなのを必死でこらえてます……」
「君に何があったんだ」
それから十五分もたたないうちに、我が【バルドル・ファミリア】、バルドル様を含めた総勢十名が揃った。
全員が一つの席につき、バルドル様の乾杯の音頭を待つ。
周りの客たちも俺達【バルドル・ファミリア】に目を向け、ヒソヒソと声を低くして話をしていた。
「それじゃみんな。昨日はお疲れ様。スウィードも入って、また【バルドル・ファミリア】は新しくなった。お祝いも込めて、今日は飲むぞぉー!」
イェーイ!とノリのいいアルドアさんが醸造酒を掲げた。他の面々もアルドアさんまでとは言わないが軽く醸造酒を掲げ、食事が始まる。
「ハーチェス様! はい、あーん」
「デルガ、いい飲みっぷりっすね」
「……酒は別腹だ」
「で、デルガさんの声、久しぶりに聞いた気がします……」
「おい、パディ! なんで葉物ばっかいれてくるんだよ!?」
「あなたが食べないからです。 あ、バルドル様。この肉をどうぞ」
「お、悪いねパディ」
「俺の肉ぅぅ!?」
……場所が違うだけでホームとやっていることが変わらないという
俺は醸造酒を飲みながら、肉料理を口へと運ぶ。
ファミリアのメンバーの様子を見ながら視線を動かすと……ふと、店の一角、ポッカリと席が空いている場所があった。
「……どっかの派閥が予約でもしてるんですかね」
「ん? さぁ、僕は知らないな。シルちゃんなら何
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