豊饒の女主人
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界は何が起こるか分からないよ………でも、だからこそ面白い」
ククッと笑う神様はそれだけ言い残して僕のもとから去っていく。
後はエイモンドが揃えば出発だ。
ーーーーーーーーーー
俺の敏捷は伊達ではなく、西の大通りの酒場、『豊饒の女主人』へはすぐに到着した。
オラリオの空はすっかりオレンジ色の夕焼け模様。魔石製品の灯が街を彩り、夜の訪れを告げる。
『豊饒の女主人』からは酒をのみ、はしゃぐ荒れくれ者達の声が響く。
「すいませーん」
「あ、式さん。いらっしゃい。 でも、早いですね」
「ああ。 リューさんはいるかい?」
そう言うと、シルさんは俺の持った花を見て、ああなるほど、といった顔で笑った。
「ちょっと待ってて下さいね。呼んできます」
「ありがとう。助かるよ」
どうやら、厨房の方にいるようだ。
シルさんはいえいえ、と笑顔を浮かべて下がっていった。
「あんたも懲りないねぇ」
「ミアさん。またごちそうになりますね」
と、そこで呆れたような様子で俺に声をかけてきたのがこの『豊饒の女主人』主人であるミアさんだ。
ドワーフである彼女は、俺より背が高いというよく分からないお人だと俺は思っている。
まぁ、でも、いい人には違いないのだ。ここの従業員であるリューさん以外の女の子達もわけありらしいが、全て分かっている上で雇っているのだ。
ちなみに、リューさんの事情は俺も知っている。
「別に私は何も言わないが、迷惑だけはかけんじゃないよ」
「もちのろんですよ」
「何をいってるのですかあなたは」
「リューさん!」
はぁ、とため息をつきながら現れた金髪のエルフの女性。
彼女がリュー・リオンさん。俺の想い人である。
「で? 何の御用ですか?」
「ああ、これ。プレゼントにと思って」
手に持っていた花をリューさんに見せる。
が、思ったほどリアクションが芳しくない。どうしたのだろうか
「あの、式。今は営業中だから、そういったものは困るのですが……」
「……ハッ!? 」
しまった!? 喜んでくれるかどうかしか考えてなかったから、時間帯まで考慮してなかった!?
ガクッと俺は膝から崩れ落ち、両手をつく。所謂、orzのポーズだ。
「ああ……俺は……俺はなんということを……」
「ちょ、ちょっと、式。こんなところでやめてください!」
『おい、あれ【秘剣】じゃねぇか?』
『お、第一級冒険者様じゃねぇか』
『……なんであんなことになってんだ?』
入り口付近での俺達の様子に気づいたのか、ガヤガヤと今まで飲んでいた冒険者達が騒ぎ始める
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