豊饒の女主人
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店員である猫人のアーニャさんの話では、プレゼントを貢ぐのが一番ニャ!と自信をもって言われているのだが。
こら、エイモンドさんみたいとか言わないの
まぁ、今回は花だし、自然の好きなリューさんは快く受け取ってくれることだろう。
出掛ける時間まではもうすぐだ。
そう考えるだけで足取りが軽くなる。
ーーーーーーーーーー
「ハーチェスさん! 俺、先に行って席とっといますね!」
「あ、いや、式? 一応予約入れてるからその必要は……」
「うっす! 行ってきます!!」
僕の言葉が耳に届いていないのか、式はホームの玄関から飛び出していく。
「……はぁ、『豊饒の女主人』が絡むと、いつもこれだ……」
「まぁまぁ、ハーチェス。そういってやるなって」
「バルドル様まで……」
ポンッと僕の肩に手をのせる主神はそう言って、今しがた式が出ていった玄関を見つめていた。
「……ほんと、変わってないよね。 君も、式も。それに僕と」
「バルドル様は神様でしょ……」
ああ、そういえばそうだった、と、そう言って笑うバルドル様は、自分で言ったように五年前から全く変わっていない。
僕達、ヒューマンや亜人を超えた不変で不滅の存在、超越存在。
僕がバルドル様と出会ったのは式と出会う数ヶ月前の出来事だった。
恥ずかしい話、二〇を越えるまでオラリオの外で過ごしていた僕は、たまたま読んだ迷宮神聖譚の英雄たちに憧れ、そしてこのオラリオへとやって来た。
……ほんと、二〇を越えた大人が恥ずかしい話だ。
街へ来たまではよかったけど、そこからは大変。どこのファミリアにも入れてもらえなかったのだ。
まぁ、当然といえば当然だ。
戦闘の経験すら皆無のヒューマンが受け入れられる訳がない。
そんなどうしようもない、途方に暮れていた僕に声をかけてくれたのがバルドル様だったのだ。
初めは女神様だと思っていたのでビックリしたのを今でもよく覚えている。
「……あれから、五年たったんだね」
「そうですね。もう五年です」
「まさか、こんな風になるとは全然考えてなかったよ」
五年で零細から上位にまで名乗りをあげた【バルドル・ファミリア】。
そして、派閥のランクに合わない構成員の人数。
僕でもこんなことは思いつかなかった。
「全部、式と出会ったところから始まったんですよね……」
思い出すのは、あの日、モンスターに囲まれて疲労困憊だった僕を助けた式の姿。
あれで恩恵を授かっていないことに当時の僕はかなり驚いたのを覚えている。
「ほんと、下
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