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ソードアートオンライン  〜蒼き神速使い〜
5 過去と邂逅
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その日の夜。
俺は夢を見ていた。それが夢だというのがわかっているのはこの世界・・・アインクラッドの世界ではなく、もとの世界にいるはずの弟が目の前にいるからだ。
・・・まあ、弟って言っても血はつながっていない。つまり、義弟だ。
俺の両親は4歳のときに通り魔によって殺害され、残された俺は伯父さんに引き取られた。
でも、伯母さんはいやみな人で、器用に息子を使って嫌がらせをしてきた。
伯父さんがいるときはまだよかったが、出張などでおじさんが帰ってこないときは飯が、1日1食。昼飯だけしか食わせてもらえなかった。
一番ひどかったのは、8歳のころ。伯父さんが海外出張で、一ヶ月帰ってこなかったときだった。
伯父さんが帰ってくる1週間前、いい加減気がついた教師が教育相談所に連絡。調べた結果、児童虐待が判明したため、俺は速やかに児童養護施設に入ることになった。
まあそんなことが近所にばれないはずが無く、息子は学校でいじめられるようになり、おばさんも近所の人に嫌われてしまったらしい(おじさんは時々会いに来て近況をはなしてくれた)。
この夢はSAOの発売日の翌日、偶然義弟にあったときの夢か。
そこまで考えたとたん目が覚めた。
体と垂直にあった腕にはナツの頭があった。その頭をなでてやりながら、俺がナツにあったときのことを思い返していた。


ままならないことがあってどうにも腹が立っていたあの日、おれは一人ダンジョンにもぐりこんでいた。
「せいっ!」
何度も何度も剣を敵にたたきつけた(俗に言う「八つ当たり」)。
少し休憩しようと休憩所に戻ると、一人の少女が倒れていた。
さすがに心配になって、
「だいじょうぶですか!?」
と声をかけてみるがまったく反応しない。しかもよく見てみれば、HPは満タンだった。
よかったといいかけてふと気づいた。じゃあ何でこの子は倒れてるんだ?首をかしげた瞬間に、少女の口から、
「・・・おにい、ちゃん・・・?」
という呟きがもれた。とっさに困って押し黙ると、
「おにいちゃん・・・」
とさらに繰り返された。どう返事するか迷っていると、ゆっくりとまぶたが開いた。
「あ、あれ・・・?」
「大丈夫ですか?」
と尋ねると、
「す、すみません!だいじょうぶです!」
立ち上がろうとした女の子はふらりとたおれ、あわてて支える。
ふわっ、と花の香りがしてなぜかドキッとした。


「・・・むにゃっ!ご、ごめんね!」
ナツのその一言で我に返る。
「あ、おはようナツ」
というとナツは最上級の笑顔で、
「おはよ!」
と笑っていた。




あの日何があったのか、ナツは言わない。俺も聞かない。




でも、2人はこうやって笑いあっている。それでいいじゃないか。






そんな
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