精神の奥底
44 赤き断罪者
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アル・クラッチ・トランスミッション)を搭載しているので、アクセルを開くだけで発進して自動で変速します』
「サテライト・チェイサーと一緒か。オレは今まで通り、クラッチとシフトペダルがいいね。もちろんATモードも用意してくれてもいいけどさ」
『検討します。もし自身でシフトチェンジしたいなら現段階ではMTモードへ切り替えて下さい。左手の人差し指でシフトアップ、親指でシフトダウンが可能です』
「…あっと、ここね。よし…行くぞ」
シドウはシールドを下ろすと、MTモードに切り替え、人差し指でローに入れるとアクセルを開いて発進する。
そしてシドウはすぐにマシンの性能の高さを思い知った。
まだ速度としては20km/hも出ていないが、ハンドルやタンク、シートから伝わってくるマシンのパワーが普通ではない。
恐ろしいものを手に入れてしまったという実感がじわじわと込み上げている。
だが気づいた時には隠し通路を通り過ぎ、見慣れた地下駐車場に着いていた。
「ここは手薄だ」
『油断してもいられません。急ぎましょう』
シドウはアクセルを開き、加速していくと地下駐車場から飛び出すように脱出していた。
正門ではシドウを逃がさないように何人もの捜査官が検問を作っている。
それは既に300メートル離れていても見える程だ。
だが先程までの戦闘で弱っていたシドウならば一瞬で御縄だったが、今はこの大量破壊兵器と言っても間違いではない怪物マシンであるエース・パニッシャーがついている。
いくら数がいようと人間は車に轢かれそうになったら逃げる、すなわち危険を回避しようとする本能があるため、猛スピードで接近すれば自然と道が開くとシドウは確信していた。
シフトアップしてアクセルを開いて更に加速する。
「「うわぁぁぁ!!!」」
シドウは一瞬で検問を突破した。
その光景は武器を直接使用すること無く、その武器と性能だけで相手を震え上がらせて屈服させてしまう強者の様相だった。
間一髪でかわしてその場に倒れ込んだ隊員の視界からエース・パニッシャーは徐々に小さく、赤い星となって小雨が降る夜の暗闇に消えていく。
そんな光景を眺めていることしかできなかった。
「このマシンといい、あの隠し通路といい、逃亡を手助けした博士の首がますます絞まっちまうな」
『そうなる前に事件を解決して、指揮官の誤解を解きましょう』
「誤解も何も、アイツ自身が自分の良いようにしているからこんなことになってるんだって。必要なのは誤解を解くことじゃなく、アイツから指揮権を奪って正常な指揮系統に戻すことだ」
『長官に報告できれば一番楽で確実なのですが、現在アメロッパの本部にいる上、インターネットダウンによるWAXAの国際電話関連サービスが停止、民間の回線なら使えるかもしれませんが、長官の
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