精神の奥底
44 赤き断罪者
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笹塚は思わず手を止めた。
救いの女神は遠い空の上でもなく、すぐ目の前にいたのだ。
「第一倉庫のパスワードはV、P、Shift+6、K、2、Lです!早く!!」
「あっ、はい!!」
声の主は数秒前まで床に崩れていたリサだった。
この防犯システムを普段から庭のように歩きまわるリサならば、当然、日常的に読書感覚でパスワードは目にしているだろう。
笹塚は全ての解析作業を中断させると、反射的にキーボードを叩き、パスワードを入力してEnterキーを叩く。
するとそのロックは「Authentication complete」の表示と共に呆気無く解除された。
「暁さん!!」
『サンキュー!!2人共!!』
シドウは開いた倉庫にすぐさま入ると、再びロックを掛け、すぐそこにあった書棚をドアの前に倒して即席で侵入者を阻む体勢を構築する。
これでしばらくは追手が入ってくることはない。
だが余裕をかましてもいられない。
「ッ…ハァ…ハァ」
急に全身に疲れを覚え、その場に崩れた。
スターダストに蝕まれる彩斗の身を案じていた自分だったが、自分自身が予想を遥かに上回る程にアシッド・エースに蝕まれていたのだった。
だが最初の頃に比べれば大したことはない。
一度、深呼吸をすると立ち上がり、トランサーを開く。
「アシッド、来い」
『ハイ』
戦闘の後に研究室でメンテナンスを受けていたアシッドを呼び出す。
木場はアシッドのことを電波変換の為の道具だと思っていたのだろう、完全に見逃していた。
仮に捕らえられていたとしても、アシッドならば容易に抜け出してくると確信していたが。
「事情があってWAXAから追われる身となった。すまない」
『状況は大体計算済みです。ご心配なく。無実の疑いを掛けられてしまい、捜査を続行するにはWAXAを裏切らなくてはならなかったのでしょう?』
「あぁ…とりあえず、木場の奴の悪事が明るみになるまで、事件解決後も逃亡を続けなくてはならないだろう」
『本来ならば私はWAXAに残らなくてはならない立場なのですが…』
「…あぁ、それはお前が判断することだ。どうだこうだ言うつもりはない」
アシッドは少し悩んでいた。
当然ながら追われているのはシドウだけ、アシッドには拘束される理由は無い。
それにアシッドにはWAXAの為、そして国の為に機能するようプログラムされている。
だがベースは組まれた感情でも、あらゆる情報を得ながら自己進化していくプログラムもまた健在だ。
アシッドは自分で物事を考え、判断する。
それによって導かれた結論、すなわち自分が選んだ道に進むのだ。
『私は…シドウに着いていきます』
「別にオレに気を使う必要はないぜ?」
『いいえ。これは私の明確な意志です。結果論として
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