精神の奥底
44 赤き断罪者
[2/10]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
「追え!!追えェェ!!!」
木場が叫ぶ。
すると2人の隊員を残して全員がシドウの追跡に走った。
マヤの勇姿が何とかシドウの危機を救い、逃すことに成功したのだ。
だがその瞬間、隙が生まれる。
「ッ!うぅ!!」
残った隊員の1人がマヤを取り押さえ、ベレッタをはたき落とす。
「このクソガキ!!」
「キャァァ!!」
「大人をナメると痛え目見るって、親に教えてもらわなかったのか!?アァ!?」
「クッ!」
「あぁ!そうだった!!お前にはその親がいないんだったなぁぁ!!」
「キャァ!!」
木場は自由の身になった途端に態度を豹変させ、マヤを合計で3発殴った。
子供相手であるとは想像もつかない程の剣幕でその口調は学生の不良崩れそのものだ。
マヤの頬は赤く腫れ、口の中を切ってしまい血が垂れている。
「おい!!連れて行け!!」
さすがにマヤも自分まで逃げ切ろうというエゴは無かったが、ここまで予想どおりだと痛みを忘れて笑い出しそうだった。
マヤとヨイリーは木場の指示で研究室から留置所へと連れられていく。
「マヤ…」
「…言わないでよ、姉ちゃん…どうせ考えてること一緒だから」
研究室から出る直前、目が合った2人は一瞬だけ言葉を交わした。
本来なら2人の立場は今頃逆だったのだ。
姉として妹には迷惑をかけまいと思い続けていたにも関わらず、まさか自分のやろうとしていることを読まれるとは完全に予想外だった。
リサは脱力して、その場に崩れた。
「…フン!」
木場はできるならリサも笹塚も共に留置所送りにしたいところだったが、悔しいことにこじつけにしても理由が見つからなかった。
熱斗の時は自分たちが依頼したとはいえ学校内のシステムにクラッキングしたという事実があり、シドウの場合は作戦行動中に指示に背いたという事実があった。
機密情報を見ようとしたものの本来、それは存在しないものとして扱われているもの、それを見ようとしたと言っても逆に秘密を漏洩することに繋がりかねない。
いくら木場が無能だろうと保身に関しては常人を遥かに上回る才能を持っている。
それに銃を持ってきたのはリサだが、それを奪ってマヤが銃を向けたという様子を認知していなかった。
木場の頭の中ではマヤが銃を持ってきて、それをマヤ自身が銃を向けたという認識だったのだ。
子供に銃で脅されて腹立たしそうな顔をして木場は研究室から出て行く。
「…リサ…さん?大丈夫っすか?」
「……私のせいで…マヤが…」
「すいませんでした…オレ、何もできなくて…」
笹塚は自分の無力さを呪う。
自分よりも10年近く若く幼い少女があれだけの勇気を見せたというのに自分は足が竦んで眺めていることしかできなかったのだ。
悔しくて悔しくて痕が残るくら
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ