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流星のロックマン STARDUST BEGINS
精神の奥底
44 赤き断罪者
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「聞こえなかったか!?この脳筋共!!この野郎の頭吹っ飛ばされたくなかったらアカツキから離れろ!!」

マヤはベレッタを木場の頭に向けながら叫ぶ。
上官の命が掛かっている以上、マヤが子供で体格差があり簡単に御せると言っても、シドウを取り囲む部下たちは一時的にマヤの言うことに従うしかない。

「おい!マヤ!!銃を下げろ!!お前まで拘束されちまうぞ!!」
「フン!!今更下げてもブチ込まれるのは変わらんぞ!!」

「テメェは黙ってろ!!このクソ無能!!」

「ヒィィ!!」

マヤの剣幕は人質の木場や隊員たちすらも圧倒していた。
隊員たちならマヤをいつでも取り押さえられる、だがそれが一瞬恐ろしくてできなくなってしまう程に。
だが同時にリサやシドウの心も動かしていた。
本来なら今、マヤの立場になっているはずのリサはもし自分がやっていたらと思うと恐ろしくて頭の中が真っ白になってしまう。

「ッ…!すまない…」

どっちにしろマヤがこうしなければ、シドウは拘束され、事件は間違った形で終結する。
WAXAの指揮系統が正常に機能していない今、シドウがいなければ事件を解決することがまず不可能、だとすればシドウが逃げて独自にValkyrieを追うしかない。
シドウならともかくマヤが1人でできることではない。
ここでリサかマヤ、笹塚の誰かが自らを犠牲にしてシドウを救うというのがこの状況では限られた合理的な手段だった。
だからそれに同タイミングで気づいた唯一の肉親の姉であり、自分よりも優秀で僅かでも事件を解決できる可能性の大きいリサの代わりに率先して自らが犠牲になることにしたのだ。
そしてシドウはその犠牲を無駄にしないという選択肢を選んだ。

「ハッ!!」

「!?グェ…」

次の瞬間、シドウはハヤブサのような速さと動きで目の前の隊員の腹部に強烈な一撃を加えた。
だがシドウがずば抜けているとはいえ、他の隊員たちもプロだ。
初撃にはついていけなかったが、すぐさま順応してシドウを取り押さえるべく動く。

「大人しくろぉ!!」
「ッ!?やなこったぁぁ!!」
「うッ!?」

後ろから羽交い締めにされたシドウは後頭部で隊員の顔面に頭突きを加え、すかさず背負投で目の前にいた隊員を押しつぶす。
その光景は周囲で見ていた誰もが恐ろしくて一歩も動けない程の衝撃だった。
シドウも自体が既に平均的な日本人に比べて長身だが、それを遥かに超える大柄な体格の隊員が紙のように宙を舞い、地面に叩きつけられたのだ。
その際の衝撃が床から足を伝ってその場にいる人間の背筋を凍らせ、音が心臓を刺激する。
ヨイリーを取り押さえていた隊員もすぐさまシドウの方へ向かうが、シドウの方が一歩早かった。
シドウはドアを開けると廊下へ飛び出した。


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