永久消滅のベータ
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かったのは自分のせい。そう思い込んでいる。俺のせいなんだ。そう、説得してやりたいけれど。この優しい巫女は絶対に納得しない。誰よりも大切な親友だからこそ、納得はしない。どんなにいっても、心には届かないだろう。
だから俺にできることはルカ子の聞き苦しい告白を、黙って聞く以外にない。
「まゆりちゃんが死んじゃったのに……どうして僕は女の子のままでいるんでしょうか……?」
「俺が、選んだことだからだ……」
俺は、微かに、しかしはっきりと言い放つ。でもルカ子は、引き下がらなかった。俺に詰め寄り、表情を強ばらせて叫ぶ。
「そんな……岡部さんは、どうしてまゆりちゃんを……! ボク、まゆりちゃんのためなら何だってするのに……!! ボク、まゆりちゃんに聞きました。時間を遡れる装置があるって……それで、どうすればいいか考えーー」
「前にもいったが無駄だ。どんなことをしたって、まゆりは死ぬ」
「諦めるんですか……? 諦めちゃダメです!! 二人で考えましょう! きっと何か解決策があるはずですよ!!」
俺はとっさにルカ子の肩をガシッと掴んだ。ビクッとルカ子の体が震え、驚きの表情で俺を見る。
「俺は、諦めてなんかいなかった……そう簡単に諦めなかった!! 考えたさ、考えに考えに考えた!! でも、無駄だったんだ……時間だっていくら遡ったか分からないけど、何にもならなかったんだ。まゆりを助けるために、何人かの人間の想いを犠牲にした。でも……もう限界なんだよ」
俺はこの会話を前にもした。でも……もう一度しなくてはならないと感じた。罪を消してはならない。だから、俺は自分に言い聞かせるように言った。
「……ボク、岡部さんの気持ち、全然考えていませんでした」
「…………」
「でも、ボクには納得できないです。まゆりちゃんがいないのに、僕だけのうのうと生きるなんて……無理です。もう、押し潰されちゃいそうで……」
「お前は何も考えなくていい。全ては俺が背負う。お前は何も悪くないんだ」
全ては俺の責任だ。まゆりを殺したのは俺。ルカ子は巻き込まれたにすぎない。だから、俺一人でいい。このまま終わりにしてほしい。
「……そういうことだから、まゆりについては何も考えるな。受け入れるしかないんだ、定めを」
俺は自分に言い聞かせるように言った。
そうだ。今までが特別だったんだ。本来ならばどうやっても死ぬ運命は変えられない。でも、俺には神に等しい力があった。だからこうして何度もやり直しの旅ができた。だが、もうそれも終わりにしよう。どうやってもまゆりを救えない。理論的にじゃない。救う方法は、ある。だがそれを拒否した。自分のエゴだけで他の人間の想いを消し去るなんて、出来ない。それに……疲れた。もう、疲れたんだ。
「……嫌です」
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