永久消滅のベータ
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、まゆりは血だらけになって死ぬことはないと考え、ここに連れてきた。そして、それが現実となってまゆりは目の前で発作を起こし、死んだ。帰らぬ人となった。
共に死を見届けた親友のダルは、俺の平然とした態度に怒りを露にした。でも、その言葉はもはや俺には届かず、ただただ、まゆりを殺してしまった罪だけが俺の胸の中に蟠っていた。
それから、3日間ほどーーそれを教えてくれたのはラボメンの紅莉栖ーーたったある日。俺は紅莉栖に諭された。
あんたの他に、罪を償わなくてはいけない、因果律を外れてしまった人がいる。その人を救う責任がある。言うまでもない。ルカ子だ。
俺はいつしかその選択の意味を忘れかけていた。俺がルカ子を選んだ理由。それはーー。
ルカ子の想いを、俺に対する好意を、かりそめの恋人関係を、なかったことにしないためだ。そのために、それだけのためにまゆりを犠牲にした。云わば俺は屑だ。
でも……屑にだって責任はある。俺が選んだルカ子という存在もまた、因果を外れていて。俺の選択に最も関係する人物。そんな奴が自分を責めない訳がない。このままルカ子は一生、まゆりの死を一人で背負い続けることになる。
それは駄目だ。俺の選択に彼女を巻き込めない。これは俺一人の罪だ。俺は、柳林神社に足を向けた。
境内に入り、ルカ子を探す。しかし見当たらない。何処かへいってしまったのか。そう思い、携帯を取り出そうとした時だった。
すすり声が聞こえた。可愛らしくて、悲しそうな嗚咽。社殿の裏手に誰かがいるのだろうか。俺は回ってみる。
案の定そこには人がいた。巫女服を身にまとい、ぐちゃぐちゃに顔を涙で濡らす、ルカ子がいた。
「ルカ子……」
俺は声をかける。けれど掠れていた。声をかけるのがやっとなんだ。
「岡部さん……」
ルカ子も、顔をあげ応答したのはいいもののすぐに顔を伏せ再び泣き始めた。俺はそばに寄り添ってあげることも出来ずただそこでじっとしていた。
「昨日……まゆりちゃんの、告別式に行ってきました……」
ポツリ、ルカ子が話す。まるで独り言のように、上の空で切なかった。
「みんな泣いていました。まゆりちゃんって、皆から愛されてたんだなって……。ボクだってまゆりちゃんのことは大好きで……一番大切な友達なんです。ボク、人見知りする性格だけど、まゆりちゃんは変わらず接してくれたんです……」
ルカ子は、今どんな気持ちで血を吐くほどに辛い言葉を言っているのだろう。俺に対する恨みか、まゆりを失った悲しみか、世界に対する怒りか。俺には、その解答を知る権利はない。
「ねえ、岡部さん、どうして僕たち……生きているんでしょう?」
「…………」
ルカ子は、自分を責めている。女の子でなければまゆりを救えたはずだ。でもそうしな
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