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STEINS;GATE 罪滅恋愛のリペンタンス
永久消滅のベータ
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「駄目だ、俺には出来ない!!」

 俺は携帯を握る手を震わせながら叫んだ。メール送信ボタンを押す親指に力が入らない。俺が今から送るはずだったのは、世界線を変えることができるDメール。メールの内容によって過去改変を実現させるという画期的な代物にして、俺達のサークルである未来ガジェット研究所の偶然の産物だ。
 しかし、それが後に取り返しのつかないことになった。擬似的タイムマシンが出来たことにすっかり興奮した俺は、危険を無視し続けて実験を行い続けた。その結果、大きく過去が変わった。ルカ子の性別は男から女に変わり、フェイリスの父親は生きていて。
 俺の幼馴染み¨椎名まゆり¨は死ぬという運命が待ち構え、どんなに抗っても死は避けられないと世界から告げられた。
 助ける手段はただひとつ。このα世界線を脱出し、アトラクトフィールドの収束から逃れ、β世界線へと移らなくてはならない。そのステップとして今まで実験のために送ったDメールを全て消去する必要がある。つまり、元々男の子だったこの少女を、再び男に戻さなくてはならない。でなければ、まゆりは絶対に助からない。
 でも、出来なかった。メールを送らなければ助からないのに、俺には送信ボタンが押せなかった。俺には、俺を好いてくれる少女の想いを消すことは出来なかった。Dメールを送ってしまえば、消滅した世界線の記憶はなかったことにされてしまう。
 俺は携帯を投げ捨て、その場にしゃがみこむ。ルカ子が駆け寄り、肩に手を置いてくれた。その手の感触はとても暖かくて、心地よかった。だから、そんな彼女を振り払うなんて、消してしまうなんて出来なかった。例え、鈴羽の願いを消してでも、フェイリスの父親を犠牲にしても、大切な幼馴染みを見殺しにしてでも……その想いだけは守りたいと思うようになってしまった。
 何故そんな風に思ったのだろうか。ルカ子のことはただの保護対象であり、仲間にすぎなかった。しかも4日間のかりそめの恋人関係だってまるでうまくいかなかった。でもルカ子のことを、今では大切なものを根こそぎ捨て去れるほどの存在に、好きになってしまったのだろうか。知らない内に、彼女のことを誰よりも好きになってしまったのだろうか。あるいは、まゆりを救うことに、他人の想いを犠牲にすることに、未来を背負うことに耐えられなくなったのだろうか。
 どっちにしても、俺にはDメールを送れなかった。送らない選択を取った。

「俺には、お前の想いをなかったことに出来ない……!」
「岡部さん……でも、まゆりちゃんが……!!」
「分かっている!! ……分かっているけれど……俺には無理なんだよ。もう、仲間の想いをこれ以上犠牲にすることに、耐えられないんだよ……っ!!」

 血を吐くように叫ぶ。ルカ子にはあらかじめ事情は話してあるため、俺の選択がどんな意味を持つ
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