試練
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越えた先の探索を開始したのだが、ある程度進んだ所で俺は驚くべきものを大量に見つけた。緑色に変色した皮膚、光の無い赤い眼、ボロボロの衣服、ひたりひたりと歩く人型。そいつは世紀末世界において、夜ならばありとあらゆる場所に現れる、人間が暗黒物質を浴びた事で吸血変異を引き起こしたアンデッド。
「グール! なぜ奴がこんな所に……まさかさっきの試練の門で、資格が無いまま通ったら、暗黒物質を注がれるというのか?」
「それはわからないけど、彼らが僕達の来る前に管理局の派遣した調査団の、成れの果てなのは間違いないです。ボロボロだけどあの服は、管理局所属の調査団が着る制服ですから……」
「いや……待ってくれ皆。この落とし穴には、剣山に刺さった死体が残っている。こいつは吸血変異をしていない……つまり彼らのアンデッド化は後天的に引き起こされたものだ」
『という事は……試練の門やトラップで死んだ者に、何者かが暗黒物質を注いだという事になる。まさかイエガーと同じイモータルがここに……?』
「……ねぇ、暗黒物質などについて私はよく知らないんだけど、アンデッド化したらあんな風に結晶が生えてくるの?」
「結晶が生える……? いや、アンデッド化にそんな性質は無いが……」
シャロンの質問を聞いて改めて、そこらを徘徊しているグールを隠れながら見てみる。確かにシャロンの言う通り、ここにいるグールは世紀末世界のものとは違って表皮の所々から結晶が生えていた。しばらく熟考した後、まさかと思って俺は確認のために、ネロが見つけた落とし穴の死体にももう一度視線を向ける。よく見れば案の定……そいつからも結晶が生えていた。
その時、俺はこの遺跡の……いや、この世界の真実に気づいてしまった。
「シャロン、一つ訊きたい。この“ヴェルザンディ遺跡が生きている”という言葉、それはどこから由来している?」
「え? それはアクーナに伝わる伝承の一文を解読したら、そのままそう書いてあったんだけど……? サバタさん、あなたは何に気付いたの?」
「……この世界には大量の魔導結晶があり、それを管理局は採掘している。だがそもそも魔導結晶はどうやって作られるか、おまえ達は知っているのか?」
「それは……ごめんなさい、私もよく知らないの。ニダヴェリールの人達は11年前まで魔導結晶の存在を知らずに生きてきたから、その発生理由をあまり解析していないし、管理局も使えればそれでいいという姿勢だったから……」
「なるほど……という事は自分達が一体何を使っているのか、誰も認識していないのか。真実はいつも残酷だな、本当に……」
皆が固唾を飲んで、俺が語る真実に耳を傾けている。満を持して俺は、このニダヴェリールの“裏”を告げる。
「魔導結晶は死者の血肉を糧として生まれ
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