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リリなのinボクらの太陽サーガ
試練
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とっくに気付いている。それを達成するためにも、そして“私”と“はやて”を救うためにも、ここでやるべき事を果たそう。

「ぐっ……早いな……もう、崩壊が始まった。私もじきに意識をなくす……そうなればすぐに暴走が始まってしまう。まだ意識があるうちに、主の望みを叶えたいのだ。だから、いい加減闇に沈んでくれ!!」

「生憎だが“私”、もう君も“はやて”も闇に沈む必要は無いんだ……」

「もう私を惑わせないでくれ! 再び私の闇を受け入れろ!!」

“私”の力で私の身体が粒子状に分解されて吸収されていく。しかしこれは私が“はやて”に接触できる唯一の経路、それがわかっているからこそあえて受けたのだ。ただ、ここで少し現実との齟齬が発生する。本来ならこの術を受けると意識が眠りに着き、幸福な夢を見続けるようになる。しかしここがまやかしの世界だからか、それとも同じ存在だからか、私の意識が眠りに着く事は無く、周囲の光景が変化するだけに留まっていた。

真っ暗な世界、何の光も見当たらない世界。それが“私”と“はやて”を接続している空間の有り様だった。その空間に私の身体が再構成されて降り立った時、私は色々な事を思い出していた。
……そうだったなぁ、これこそがかつての私の心だ。何の希望も見出せないまま、主を殺し続ける狂った道具、止め処ない破壊を撒き散らす災厄のロストロギア、闇の書の管制人格として悪夢に繋がれたまま生き続けるしかない人生だった。

「……っ、……うぅっ……どうして……どうしていつもこんな事に……!」

そしてこうやって心の中で泣き続けていたんだ。ずっと……助けを、救いを、太陽を求めていたんだ。何も無い寂しい空間の中、私はずっと嘆いていたんだ。
暗闇の中、横になって眠っている“はやて”の前で蹲り、切ない涙を流し続ける“私”。その姿を一歩離れた位置で見ていると、“私”は嗚咽を上げながら泣き顔で私にすがるように尋ねてきた。

「教えて欲しい……どうやって救われたんだ? 悲しみも、苦しみも、嘆きも、痛みも、辛さも、何もかも全て同じなのに……どうしてそっちの私は前を向いていられる……! どうして心に太陽を取り戻しているんだ……!?」

「それは……身を張って教えられたからだよ、兄様に。それも文字通り自らの命を賭けて。ネガティブな事ばかり言って全てを諦めてたら、私も何かを望めと本気で説教されて……人間の可能性を見せてくれた。絶望の中からは何も生まれない、それは“私”もよく知っているだろう? だけど例え僅かだろうと可能性に挑んでいれば、もしかしたら奇跡が起きるかもしれないじゃないか」

「可能性に……挑む……」

「そうさ、例えどれだけ小さい確率でも……それがゼロでさえなければ、それはあり得る事なんだ。そこで寝ている君の主……“はやて”とも
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