暁 〜小説投稿サイト〜
リリなのinボクらの太陽サーガ
試練
[4/11]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
団はこの仕掛けでナニカサレタ……のかもしれない。となるとシャロンの血を登録した私達にはその罠に襲われる心配はないと思われる。が、念のため咄嗟にシールドを展開出来る様に警戒しながら足を進める。

そしてゆっくりと歩を進め……私の身体が水面をくぐった。時空が歪んで一瞬意識が朦朧とした直後、私の身体にいきなり浮遊感が発生する。

「なっ!? 飛行魔法、展開!」

背中から魔力で構築された黒翼が伸び、浮力を発生させる。突然の落下に驚いたものの、落ち着いて周囲を見渡すと、どういう訳か私のよく知る光景が眼下に広がっていた。

「ここは……海鳴市!? ど、どうして……私はさっきまで違う世界にいたはず。それどころか遺跡の地下にいたのだから、そもそも外にいる事自体がおかしい。いったい私の身に何が……?」

あまりの急展開にしばらく精神的に取り乱してしまったが、幾分冷静になって思い返してみると、恐らく間違いではない考察に思い至った。シャロンが解読してくれた文によれば、私が潜ったのは“試練の門”と呼ばれ、そこは“可能性の世界”を再現しているという。となればここでの出来事はいわゆるifの世界で起こるはずの出来事……しかし実際に現実に影響する訳では無い。

つまり全てがまやかしではあるが、あり得たかもしれない世界を見れるという事だ。だがしかし、この世界は私に何を見せようと言うのだろうか……? そして試練の内容とは何なのだろうか……?

「壊れた機械はいらないよね?」

「な、なのはちゃん? 君、一体何を言うとるんや……?」

「君は病気なんだよ。闇の書の呪いっていう絶対に治らない病気」

「ふぇ、フェイトちゃん……? どうしてそないな事を……?」

私にとって馴染みのある声、そして大切な主の声が近くから聞こえてきた。しかし約二名、口調が私の知るものと違う者がおり、確認のために声の発生源の方へ振り向く。そこでは……今まさに絶望が目覚めようとしていた。

「し、シグナム!? ヴィータ……! シャマル、ザフィーラもあかん! 皆逝かんといてぇ!! いやぁああああああ!!!!」

高町なのはとフェイト・テスタロッサ……の偽物であろう二人に、この世界の守護騎士達が闇の書に蒐集され、肉体が消滅していく。その光景を目の当たりにしたこの世界の主はやては一瞬で表情が絶望の色に染まり、黒い光の柱に姿を飲み込まれる。そして現れたのは……“私”だった。

そうか……この光景は兄様が私達の世界に来なかった場合、たどりついてしまった結末か。まさにifの世界……いや、むしろ“原典”の世界かな。こういう光景を目の当たりにすると、兄様がいなければまたしても私は主を不幸にしてしまったのだと思い知らされる。既に救われた身だからこそ、こういう可能性もあった事を知るべきだ
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ