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ダンジョンに復讐を求めるの間違っているだろうか
夢の中
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 ――ならば、これを見てそれを言えるか?――

 と、声が響いたと同時に延々と白かった床と天井がデイドラを中心にして、薄緑色に染まりはじめた。
 やがて、完全に薄緑色に染まると、床に黒い線が無数に走り、様々な四角形を描いたと思えば、その形に床が浮かび上がった。
 そしてデイドラを挟むようにしてそびえ立った(元は床だったもの)が薄暗く先の見えない通路を形成した。
 というか、その通路はダンジョンの五〜七階層のそれそのままだった。
 それこそ、オラリオの地下にあるそれを切り出してきたかのようだった。
 見る間に大きく変貌した光景に唖然とするデイドラの前方、通路の先の闇が突然、明るくなった――と同時にデイドラは反射的に駆け出していた。
 明けた先に見えたのはルーム。
 その中央に見えるのは少女の背中。
 そして、少女の前にいるのは、黒手を振り下ろすウォーシャドウ。
 デイドラはその少女がリズであると刹那にして気付いたのだ。
 通路を疾風迅雷の如き勢いで駆け抜け、飛びつくようにして地面を蹴り、跳躍した。
 が、指先がリズに触れるか否かの瞬間、スイッチを切ったかのように、リズだけでなく、ウォーシャドウも薄緑色の床や壁も白く塗り潰された。
 いや、視界が白く塗り潰されていたと言った方が正しかった。
 デイドラは突然のことに受け身も取れず、白い床に激突し、数回転転がった。

 ――では、訊こうかな。お前は何のために生かされている?――

 「俺は…………復讐のために生かされている」

 転がったまま死んだように床に横たわるデイドラはむくりと起き上がり、生気のない声音で答える。

 ――そうだ。決して他人を守るわけではない。お前は他人を守る資格などない。忘れたわけではないだろう、あの日のことを――

 と言い終えるが早いか、白い床から業火が燃え立ち、デイドラを囲んだ。

 「あ、あああっ」

 その業火の隙間から、母の名前を呼ぶ少年の声、恐怖に染まる男の怒号、空気を引き裂くような女の悲鳴、正体のわからないモンスターの鳴き声が場に溢れた。
 その中、デイドラははっきりと自分の名を呼ぶ少女の声を聞いていた。

 「や、やめろおおおおおおおおおおおっ!!」

 その声を掻き消そうと、有らん限りの声量で叫ぶ。
 が、少女の声を含めすべての声は地獄より蘇った怨霊が耳元で吐くが如く鮮明に耳にこびりついて、離れない。

 「やめてくれ!やめろっ!もう聞きたくない!頼むっ!」

 と、耐え切れず嗚咽にまみれた声でどこにいるのかもわからない声の主に頭を垂れ、懇願した。

 ――これでわかっただろう――

 そのデイドラの声に主が応える。

 ――お前は復讐以外のことは許されていない。このことをゆ
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