5.君はもっと強くなる
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ザマぁみろ、牛頭め。運命の女にも巡り合えないまま死んでたまるかというのだ。そう強がっていたが、体力が限界に達して尻もちをついて倒れた。
辛うじてつなぎとめた意識が、周囲の喧騒を聞こうとするが、まるで水中に沈んでいるかのように上手く音を聞き取れない。ただ、視界に長い金髪と俊足の刃が見えた。
瞬時にバラバラに引き裂かれるミノタウロス。恐るべき実力だ。
金髪の、剣士。奇しくもそれは、最後の一撃を叩き込む直前に幻視した想い人と特徴が似ていた。
けれど――『彼女』はそんなに髪は長くなくて。
身長もそのシルエットより小さくて。
太刀筋は速度と手数に特化したそれではなくて――
(君じゃ、ない……)
その事実を少しだけ悔いながら、直後に体力を使い果たしたリングアベルは意識を手放した。
その日、ヘスティア・ファミリアに泣きじゃくる一人の少年と、やり遂げたような顔をして伸びた一人の青年がロキ・ファミリアの手によって運び込まれた。主神ヘスティアはまずベルに一回ビンタをし、続いて意識のないリングアベルの頭を殴り、最後に堰を切ったような大泣きで二人を抱きしめたという。
この日の出来事を、ベル・クラネルは一生忘れる事が出来ないだろう。
仲間の為に命を張った偉大なる先輩の雄姿を。
この日、彼は自分の将来の夢のに、「先輩にこの恩を返して格好いいところを見せる」という内容が追加された。
……なお、この際に不器用ながら慰めてくれた「剣姫」アイズ・ヴァレンシュタインにちゃっかり一目惚れしており、もう一つ目標が増えていたが。
「それでいいぞベル!男の背中より美女を追いかける事が男の本懐だッ!!」
「はい、リングアベル先輩ッ!!」
「キミたちは馬鹿かぁぁぁーーーッ!!?」
ヘスティア・ファミリアは今日も平和です。
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