4部分:第四章
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言葉を退けたのであった。言葉が退けられた朱英はそれを見てすぐに春申君の前を立ち去った。そうしてすぐに楚を離れたのだった。
このやり取りからすぐに王は死んだ。すると朱英の言葉通りになった。
「春申君の側近達はいないな」
「はい、まだです」
「まだいません」
人相の悪い男達が李園の周りにいた。そうしてすぐに王宮の中に入るのだった。
「誰もいません」
「我等だけです」
「よし」
それを聞いた李園はいよいよその笑みを邪なものにさせた。
「ならばだ。よいな」
「はい、それでは」
「今すぐに」
こうしてそれぞれ宮中の王の遺体が置かれている部屋の中に隠れた。部屋の隅に隠れる者もいればカーテンの陰に隠れる者もいる。そうして春申君を待った。
程なくして王の死を聞いて彼が駆け込んできた。宰相として当然のことだった。
しかし彼は一人だった。周りには誰もいなかった。そうして刺客達がいるその部屋に入り。
忽ちのうちに刺客達が殺到し彼を貫いていった。彼は叫び声をあげる間もなく全身から血を流しそのうえで倒れていく。その時目に見えたものは何だったのであろうか。
彼はその首を切り落とされその首を門の外に放り出された。李園はそのまま彼の宮殿に攻め込みその一族を皆殺しにした。それで全ては終わりだった。
その後彼の子が王になった。楚の幽王である。これから暫くして楚は秦に滅ぼされ何もかもがなくなってしまった。その滅び方があまりにも悲惨なものであった為に秦への怨みは深いものであり後にあの項羽を生み出すことになるがそれは後のことである。
史記には春申君は老いたとある。その為に李園の邪なことを見抜けずまた朱英の声を聞くことはなかった。そうしてそれにより死んでしまった。司馬遷の最後の文章はあえて簡潔なものにしているようだ。そこにあるのは残念さであろうか。何はともあれ彼はこのようにして死んだ。実に無惨な結末であった。
届かなかった忠告 完
2009・6・7
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